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そうじゃない、たまたま、
ここであっただけなの、


そう言う実彩子さんの言葉も、
素直に受け取れない。


「帰ってください。

さっきの続きは、
二人きりになれるとこでやってください。」


こんなこと言ったらだめだ、
って頭のどこかでわかってるのに、
止められない。


二人に背を向けて歩き出す。


動揺しているからか、うまく足が動かない。
廊下を曲がり、
やっと二人の視界から私が消えたはず。


手すりをもつ手に汗がににじむ。


ぐっと唇をかみしめてないと、
声を上げて泣いてしまいそうだ。


早く病室に戻らなきゃと焦る私は
あともう少しと言うところでバランスを崩して、
転んでしまう。


その音が聞こえたのか、
廊下の向こうから走ってきて、
転んでる私に駆け寄る西島さん。



西「Aっ!」


私を助け起こして
横抱きにしようとする西島さん。


「やだっ!離してっ!」



西島さんの前で泣きたくない。
こんな私、見られたくない。


西島さんの腕の中から何とか逃れようとする私。



西「Aっ、おとなしくして。
ベッドまで運ぶから。」



「いやっ!」


西島さんはそんな暴れる私の腕をぎゅっと押えて、
いきなりキスをした。


「んんっ!」

抵抗したいのに
久しぶりのキスはあっという間に
私の体から力を抜いてしまう。


「っはぁ…っ、はぁ…、

なんで?」


我慢できず、
ぽろりと頬を伝う涙。
なんで今、
こんなキスをするの?


と問いかける私を切なそうな顔で見て、
無言で抱き上げた西島さん。


視界の隅に心配そうな実彩子さんが映る。


今の、見てたんだ。



病室のドアを開け、
私をベッドに降ろした西島さん。


西「痛いとこ、ない?」



「ない、です。」



答える私の心の中はぐちゃぐちゃだ。



西「そっか。




さっきの、
ごめん。」


私と目を合わさずに、
そう言った西島さん。



「さっきのって、なんですか?

無理やりキスしたこと?
それとも、実彩子さんと抱き合ってたこと?」


やだ、こんな聞き方。
だけど、止められない。


「やっぱり実彩子さんは、特別ですよね。
ちゃんと西島さんのこと、わかってるもん。

私には見せないところ、見せてる。


歌おうとしてないって何?
私、何も知らないっ!



なんで…っ!?


あ…
だからですか?
やっぱり私と離れたくなったんだ。

なのに、私、一緒にいてなんて…

バカですよね…。」


黒くて汚い感情。
こんなの、知らない。

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作品ジャンル:恋愛
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リリィ(プロフ) - loversoul5296さん» うれしいコメントありがとうございます!同じ西島さん像を共有できて嬉しいです☆この先もよろしくお願いします! (2018年10月14日 22時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - ao.aoさん» コメントありがとうございます!3もスタートしましたので、これからも楽しんで頂けたら嬉しいです!最高にいい!の言葉、すっごく嬉しいです☆ (2018年10月14日 21時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - くまさん» いつもありがとうございます!頑張ります☆ (2018年10月14日 21時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
loversoul5296(プロフ) - 凄く引き込まれますね。しかし切なすぎて苦しすぎて。そんな西島さんすらかっこよすぎて(笑)現実の西島さんがどんな恋愛するのかわからないけど、リアルな西島さんに大切にして貰える女性はきっと素敵な人だろうなって。完全に私の中の西島さんはこの西島さんです(笑) (2018年10月14日 0時) (レス) id: a5209292a1 (このIDを非表示/違反報告)
ao.ao(プロフ) - いい!いい!最高にいい!幸せになってもらいたいです更新楽しみにしてます。 (2018年10月13日 11時) (レス) id: c44633c2f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリィ | 作成日時:2018年8月21日 15時

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