歩む道。

13 side Nissy ページ13

最初は唇を噛んで、
声を我慢していたA。


「っはぁ…っ！やぁっ……！」


眉を寄せ、目を閉じて、
身を捩る。


口からはもう喘ぐ声しかでていない。


俺は指で、唇で、舌で。
Aの体を嬲る。


一際高い声を上げる場所を見つける。



「や…それ、やぁっ…、

こわい、なん…か、

あっ…！ぁああっ！」



俺に背中にしがみついて、
ガクガクと体を震わせたA。
細い背中をしならせて、
俺が与える感覚に酔いしれる姿が
たまらなく、きれいだ。


西「いい？」


視線を宙に彷徨わせてたAの焦点が、
俺に合う。


頷くA。



少しずつ、少しずつ、
Aの様子をみながら進める。


西「力、抜いて？」


目をぎゅっと閉じて
首を横に振るAにキスをする。

優しく唇を喰んでいると、
体の力が少しずつ抜けてくる。



そして。


深い場所で繋がると、
ポロポロ涙をながすA。



西「ごめん、大丈夫？

体、辛い？」


そのまましばらく動かずに、
抱きしめる。



俺の背中に手を回したAが、
泣きながら言う。


「に…し…、じまさ……ん、

好き。」


西「名前、呼んで？」


涙の雫をキスで拭いながら、
頭を撫でる。


沖縄でのあの夜のことを、
同時にあの後の胸の痛みも思い出す。


「たか…？」


西「うん。」


「たか…、好き。

好きだよ。
ずっと…。


置いてかないで…。
そばに、いて。」



その言葉を噛みしめるように、
繰り返すA。
たぶん、Aもあの時のことを
思い出してるんだろうな。


俺が動きだすと、
声にならない声の合間に
うわ言のように、


たか、
たか、


と俺の名前を呼ぶA。


初めて抱き合ったときよりも
ずっと、
お互いを必要としてる感覚。


「たか…っ、も…、わた…しっ…」


西「ん、俺も……っ。」


Aの手と、俺の手を重ねてぎゅっと握る。


ひたすらお互いに高めあった体温が
一番熱いところで、
共に果てる。







疲れきって寝てしまったAのおでこに
唇を寄せて、目を閉じる。


Aの部屋のベッドは二人で寝るには
少し狭いけど、
この腕の中にAを抱いて眠ると
何とも言えない幸せを感じる。


心も体も繋がるってこういうことなのかな。


今まで辛い思いや悲しい思いをさせた分、
幸せにする。


すやすやと寝息を立てるAを抱きしめなおして、
俺はそう誓った。

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