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「そう…」
『…』
「じゃあ…彼女になってほしいんすけど」
Aは迷っていた。自分のこの気持ちは仕舞っておくものだと思っていたが、平野と好き同士であると発覚し、その対応をどうするべきか、定まっていなかった。平野も好きというのだから、彼女になってしまえばいい。そうは思うが、Aは平野が好きで、彼の負担になるようなことはしたくない、というのがAの最優先事項だった。
『考える時間を、下さい…』
「……わかった、って言いたいけど」
正直、今すぐにでも抱きしめたい。
『…っ』
「俺はメダルを取る前からAさんに宣言をしておいたし、取材がまだ多くあるから次いつ会えるかも分からない。何より日本への帰国は明後日ですよ」
『明後日…』
「そう、日本に帰れば取材三昧、そして3月に入ったら次の大会の為にアメリカに飛ぶ。直接会える時間なんて無い…」
オリンピック後はパラリンピックが待っていた。Aを含めサポートメンバーは選手村に残り、パラリンピック選手たちにも同じような食事管理をする。つまり平野が日本にいる間には帰国が出来ず、アメリカに行った後にAは帰国するのである。怒りか焦りか、平野はいつもより饒舌になり、まくしたてるようにAに迫った。そんな平野を見て、Aは悩んでいることを直接ぶつけた。
『歩夢くんのことは好き。けど負担にならないかが、一番不安なの…仕事は続けたいから海外にも中々いけないし、好きって気持ちが膨らみすぎちゃったら、歩夢くんに不安を押し付けちゃうかもしれない…』
『私…よく出来た子じゃないから、ずっと離れてることに耐えられなくなるかもしれない。笑顔で支え続けること、できないかもしれない…』
「…そんなこと」
『歩夢くんが好きだから…負担をかけたくない、嫌われたくもないんです…』
「Aさん…」
泣きたかった。
けど同情を誘うようで、我慢した。
「俺はAさんが居れば、意欲が出てくる。なんていうか、モチベが上がって…やってやろってなるんすよ」
『…うん』
「もし俺の負担になりそうだったら言ってあげます。俺はAさんの為に滑るから、日本で美味しい料理作って待ってて、って」
一応約束しといたほうがいいでしょ、という平野の言葉に救われた気がした。
『…歩夢くん』
「ん…決まった？」
『抱きしめて、ほしいです…』
「……ん、待ってた」
平野に優しく包まれて、Aは恐る恐る背中に手を伸ばしたのだった。
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yara - kanadeさん» ありがとうございます。そういうお話しが書けるようこれからも頑張ります。 (2018年3月13日 22時) (
レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
kanade(プロフ) - すごくキュンキュンしました! (2018年3月11日 23時) (レス) id: c9d57448f4 (このIDを非表示/違反報告)
yara - サナさん» ありがとうございます。がんばります！ (2018年3月11日 23時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
サナ - 続き気になります！更新頑張ってください (2018年3月11日 22時) (レス) id: 32edee0000 (このIDを非表示/違反報告)
yara - kanadeさん» ありがとうございます。すべて未定で好きなように書くだけなので、あまり期待せずにお待ちください。 (2018年3月9日 23時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2018年2月19日 23時
