43 ページ43
43
『…………え？』
きょとん。
まさにその言葉通りの顔をしていたと思う。
『…』
なーんてね、うそうそ、冗談、驚いてる顔おもしろい、ねえ、Aさん。
って、なんで言わないの歩夢くん？
「…聞いてんの？」
顔を覗き込まれた瞬間にAは思った。
『あれっ』
「……」
『あ、ゆ、夢？わっ私意識ある夢はじめて…！』
はぁ？
『そっかぁ…今日の歩夢くんなんだか変だと思ったんだ、私の夢の中の歩夢くんだからかぁ…』
「…まじで何言ってんの？頭大丈夫？」
『あは、その言い方だけいつもの歩夢くんだ』
好きだと言う平野は、自分の妄想であると。
Aは、これは自分の夢の中であると、
信じられるほど信じられない言葉だった。
『夢の中だから言っちゃうけどね、』
「は、」
『わ、私ね…』
頬を赤く染めながら紡がれる言葉。平野はマズイと思った。平野にとって良い結果でも悪い結果でも、決勝前の今聞くべきではないと思った。すると、咄嗟にAの口を手の平で塞ぎ、黙らせた。焦った末の行動だったので少しがさつで、ロマンチックなやり方では無かったが平野も触れたことに対してビックリして顔に血がのぼるのがわかった。しかし顔には出さないポーカーフェイスであった。
手はすぐに離すつもりであったが、Aのんんんーっという声で我に帰る。話している途中で突然口を塞がれたAにしたら窒息死するのではないかと思ったほどだった。
「すんません…なんていうか、そういうのは今じゃなくて……、え？」
Aさん？大丈夫？
口を塞がれた所為なのか興奮のしすぎか、Aはふらふらと立っていられなくなった。平野は支えるが、脱力する重みを感じた。気絶したのでは、そんな考えが過ぎり近くの椅子に横たわらせて呼吸を見る。必要であれば医師でも呼ぼうかと考えていたが、その心配はなかった。
「……寝てんのかよ」
安堵の息を漏らした平野は、Aを横抱きにして宿舎まで送ってあげたのだった。
---
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 345人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yara - kanadeさん» ありがとうございます。そういうお話しが書けるようこれからも頑張ります。 (2018年3月13日 22時) (
レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
kanade(プロフ) - すごくキュンキュンしました! (2018年3月11日 23時) (レス) id: c9d57448f4 (このIDを非表示/違反報告)
yara - サナさん» ありがとうございます。がんばります！ (2018年3月11日 23時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
サナ - 続き気になります！更新頑張ってください (2018年3月11日 22時) (レス) id: 32edee0000 (このIDを非表示/違反報告)
yara - kanadeさん» ありがとうございます。すべて未定で好きなように書くだけなので、あまり期待せずにお待ちください。 (2018年3月9日 23時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2018年2月19日 23時
