気になるあの子。

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(あ、返信きてる。

来夢くんと、歩夢くん…)

Aの仕事が終わったのは22時だった。支度をしている時にLINEに気づく。片山は観戦のお礼と明日にある決勝での意気込みが書いてあった。絵文字や！マークが多いのも片山らしく、久しぶりに感じた。

次に見た平野の文章には、

会えないか、と書かれていた。



『…22時回ってるけど、』

Aは初め嬉しさのみが溢れたが、明日は11時頃から大事な決勝の筈。朝のウォーミングを考えるとそろそろ寝たほうがいいのではと思った。既読をつけたままどう返そうか悩んでいると。


"仕事終わりましたか？"

ピコンと平野からのLINEが続く。ここですぐに返事をしないと既読スルーしているのではと思われてしまうと感じ、せかせかと返事を打つA。

"はい。すみません今気づきました。"

"いえ、今からラウンジ行きます。"

え、有無も言わさず来るの？と思ってもAも会えることが嬉しいので"はい"と返事をしてからラウンジで待っていた。



「Aさん」

『歩夢くん…じ、時間大丈夫？』

「うん平気」

『そっか…』



「今日、見てくれてありがと…明日も観てくれます？」

『も、もちろん！決勝での晴れ舞台、皆んなの滑りを目に焼き付けます！』

「ふ、明日まじでかますから」

『うん。メダル楽しみにしてる』


平野とは明日のためにも、30分くらいで別れたほうが良いと思っていたのでAは時計を確認し、声をかけた。

『そろそろ宿舎戻るね』

「あ…」

『明日も頑張ってください』



「……あの、俺、メダル取ります」

『え？…うん、頑張ってね』





「その、金メダル…取ったら俺のこと好きになってほしいんすけど…」




駄目っすか？


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