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「?」
『あ、平野さん…』
無意識に歩く足が止まっていた平野。
じっと二人を見つめていたのだろう、羽生が視線を感じ、こちらを見てからAも何だろうと振り返った。
目が合って、Aが外らす。
そんな態度のAに、何とも言えない感情が渦巻く。羽生はきょとんとしながら平野とAを交互に見た後、場を和ませるように平野に話しかけた。
「歩夢くん、久しぶり。また五輪で会えて嬉しいよ」
「…あ、どうも」
「知り合いみたいだけど、Aちゃんと仲良いの?」
『ゆ、結弦くん…!』
「あはは、恥ずかしがってる」
(カップルの会話かよ…)
名前で呼びあいイチャイチャしているように見えるその光景に、平野は眉間にしわを寄せた。羽生もそうだが、AもAだ。羽生が好きなのかと疑うほど打ち解け、心を許してる雰囲気がした。
なんだか気に入らない。
『ひ、平野さん、これから練習ですか?』
「まぁ、そうっすね」
『そうなんですか、これから中抜けなので見に行ってもいいですか…?』
「え?あ、まぁ…」
Aに嬉しそうにそう言われるとさっきのモヤモヤは何処へやら。思わず驚いた表情で頷いてしまった平野。午後の練習も気合いを入れようと思ったのだった。
「じゃ、自分はこれで」
『じゃあね』
「バイバーイ」
平野の目は逸らすのに、背中ばかりはじっと見つめるAに羽生は薄らと笑みをこぼした。
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yara - kanadeさん» ありがとうございます。そういうお話しが書けるようこれからも頑張ります。 (2018年3月13日 22時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
kanade(プロフ) - すごくキュンキュンしました! (2018年3月11日 23時) (レス) id: c9d57448f4 (このIDを非表示/違反報告)
yara - サナさん» ありがとうございます。がんばります! (2018年3月11日 23時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
サナ - 続き気になります!更新頑張ってください (2018年3月11日 22時) (レス) id: 32edee0000 (このIDを非表示/違反報告)
yara - kanadeさん» ありがとうございます。すべて未定で好きなように書くだけなので、あまり期待せずにお待ちください。 (2018年3月9日 23時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年2月19日 23時