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『あれ』
珍しく平野が一人でいた。
此処は食堂ではなく食堂前のラウンジである。そこに置いてある椅子に腰掛け、イヤホンを付けながらタブレットで何かを見ているようだ。
『こ、こんにちは…』
前回はなかなか声を聞く事がなかったので好奇心から声をかけてみたが、きょとんとした平野に冷や汗をかく。
(誰って顔してる…!)
『えと、Aって言います…覚えてますか?』
「……、A?」
(どこかで聞いたことがあるような…)
真顔でどこか遠くを見つめる平野。思考停止してしまっただろうかと心配になり、覗きこむように椅子の前にしゃがみこむA。
「、ちか…」
『え?』
「あれっすか、来夢とかとしゃべってた…」
『!、そうそう』
鼻を擦りながら発してくれた、たった一言がすごく嬉しかった。会話してくれた、しかもAを認識してくれた。その収穫があっただけ、声をかけて良かったと感じた。
『えへへ』
「…どうしたんすか」
『お話しできたのが嬉しかったので…』
「はあ、そっすか」
この人は八方美人な態度をとる人なのだろうか、それとも自分に好意があるのか或いは計算も何も無い天然なのだろうか。
今まであまり女性と接したことがないので駆け引きなどはわからない平野。勘繰るのはやめて純粋に受け止めることにした。
『何見てたんですか?それ』
「練習中のフォームとか、たまにニュースとか…ですかね」
『へー、どういう感じですか?』
「あ、これ優斗っす」
『おーすごーい、やっぱり観客席よりも近いから迫力ある!』
画面を見せてもらいながら弾む会話に、にこにこしてしまうAであった。
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yara - kanadeさん» ありがとうございます。そういうお話しが書けるようこれからも頑張ります。 (2018年3月13日 22時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
kanade(プロフ) - すごくキュンキュンしました! (2018年3月11日 23時) (レス) id: c9d57448f4 (このIDを非表示/違反報告)
yara - サナさん» ありがとうございます。がんばります! (2018年3月11日 23時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
サナ - 続き気になります!更新頑張ってください (2018年3月11日 22時) (レス) id: 32edee0000 (このIDを非表示/違反報告)
yara - kanadeさん» ありがとうございます。すべて未定で好きなように書くだけなので、あまり期待せずにお待ちください。 (2018年3月9日 23時) (レス) id: 0e857c8a37 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年2月19日 23時