のっぽさんとおちびさん。３ (ページ1)

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『……ごちそうさまでした。』

一人になった食堂に私の声が響く。

洗濯物が大量にあったお陰でご飯が遅れてしまった。

『はぁ…よし、もう寝よう。』

明日は朝が早い。

石「あ、お疲れ。」

『お疲れ様。何かあった？』

祐希さんにタメ口で話すのも慣れたものだ。

石「いや、落し物しちゃってさ。」

祐希さんを見る。

『何落としたら当ててあげようか？』

石「お、出来るかなー？」

『ネックレスでしょ。』

石「！！当たり！」

祐希さんの首元を見て確信が持てた。

『これ、落ちてたよ。』

そう言ってネックレスを渡す。

石「あっ！こんな所にあったー！

どこに落ちてた？」

『体育館。』

石「あぶねー！マジありがとう！」

そんなに大事なのに気付いてなかったの？

石「あ、今年も全日本に選ばれたんだってね。

おめでとう。」

『ありがとう。

そうだ、明日から向こう戻る事になったから。』

石「え、戻っちゃうの？早くない？」

『女子の方が大会始まるの早いしね。』

食堂を出て横に並んで廊下を歩く。

『……そう言えば

OQT終わって家帰ったら正式に養子縁組する事になったの。』

何を言って欲しかったのかはわからなかった。

でも誰かに言いたかった。

石「え、それ本気？Aはそれで良いの？」

……良いワケがない。

でもそう約束してしまった。

『し、しょうが無いよねー！

私が出した条件クリアしちゃったんだもん。笑

しかも誰だって有名になりたいんでしょ？笑』

石「笑うなよ。無理してまで笑うなよ。

辛いなら何で素直に辛いって言わないの。

辛いの、笑ってごまかすなよ。」

……私は他人への甘え方を知らない。

いつでもAちゃんはしっかりしてるね、とか

Aなら出来るよね？とか出来る事が当たり前だと思われてきた。

しっかりしてる子だと思われてきた。

私はいつでもお父さん、お母さんの自慢の娘でなくてはならなかった。

別にそれが苦しかった訳じゃない。

だってそれが普通だと教えられ、育てられたから。

だけど叔母さんたちと居ると、それが間違ってた気がして仕方ない。

『……言いたいよ。

私だって言ってみたいよ、そんな事！

あんな人達と一緒になんて居たくないよ！

でもしょうがないじゃん！！』

訳が分からなくなって涙がボロボロ落ちてくる。

泣いてることろなんて見られたくない。

気が付けばその場から逃げ出していた。

＿＿＿＿＿やっぱり私って弱かったんだ。