シンデレラエクスプレス

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「何か用事あった？あ、俺とじゃイヤなら…」


そんなことあるわけない。
私がブンブンと首を横に振ると、ぱあっと表情を明るくしてフヘヘと笑って。

もう、可愛い過ぎて困っちゃうよ。



今日はなんていい日なんだろう。
憧れの人に、たまたまの成り行きとは言えお食事に誘ってもらっちゃえるなんて。

日頃の行いのおかげなのかな。最高な日だよ！

そもそも部長ってどんな美女がが誘ってもお茶でさえ拒否するっていう難攻不落なアイドルだよ？？

私ってばなんてラッキーなの？




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タクシーに乗って数分。
立派な門構えを見てあんぐりと口が開く。


…もしかしてもしかすると
セレブ御用達で有名なあの焼肉屋だったりしません？

そーですよね？！

女将らしき人に挨拶され、軽口を叩く部長。
…スゴイ。馴染んでる。もしや常連？



しかも、通されたのは完全な個室。

部長に「何が食べたい？」と聞かれメニュー表を覗くけど、品数の多さもさることながら その一つ一つの金額にクラクラ。
とてもじゃないけど選べない。

私はウーロン茶だけオーダーして、あとは全て部長に一任。
すると程なくして運ばれてきた第一陣。

ビールを勢いよく喉に流し込んだ部長は「あー幸せ！」と満面の笑みを浮かべ、ネクタイも緩め完全にリラックスモード。
そして私はそんな部長を目の前で見ながらチビチビとウーロン茶を飲む。



眼福。眼福。

…なーんて、部長がアツアツのたまごスープと格闘してる姿をほんわか眺めてたまではよかったのに。



「Aクン、牛タン焼けたよ。」

「あ、すみませんッ…//」

「塩コショウでいい？レモンいる？」

「レモン欲しいです、けど、でもまず部長…」

「フフ。レモンあったらいくらでも食えちゃうよねぇ」

「はい、…でもあの」

「ほら！どんどん食べて。焦げちゃう焦げちゃう」

「あ、ありがとうございます。でも部長も召し上がってくださいね？」

「食ってる食ってる」



もしかして部長って、焼き奉行？
びっくりするほどお世話しまくってくれるんですけど。
ってか、申し訳ないくらい！


お腹すいたって言ってたのは部長なのに、たまに自分のお皿に運ぶだけ

それならと、部長がトングを置いたスキに手を伸ばすも
「だーめ」なんて、かわいく拒否られる始末。

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