シンデレラエクスプレス

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とにかくこれ以上 ため息をつかれないよう、最速で片付けなきゃ！



使える部下と思われるのはムリだけど、使えなさすぎる部下だと思われるのは辛い。
普段の倍の以上の気合いでパソコン画面に向かうと、最速で自分の仕事を終わらせた。



ホッとして顔を上げたら、少し離れたデスクからものすごいスピードでキーボードを打つ音が聞こえてきて、そっと盗み見。


「…」


パソコン画面を見つめる横顔だけで仕事ができるオトコだって分かるよね。

感嘆のため息が出ちゃう。

こんなパーフェクトな人がこの世にいるなんて…





「仕事終わった？」

「え？」

「めちゃめちゃ視線感じる」

「あ…ッ//？！スミマセン！」



やだ！気づかれてた！恥ずかしい！
慌ててデスクを片づける。



「終わりました！」

「そ、か。
俺の方もこれを保存して……、よし終了！終わったぁー」

「部長、どうもありがとうございました！」

「…あー、疲れたぁ」



ただでさえ出張でお疲れで、少しでも早く家でゆっくりしたかったでしょうに。

部長には迷惑かけまくっちゃった。




「あ。」

「どうしたんですか？」

「忘れてた」

「何をですか？」

「めちゃめちゃ腹へったと思ったら、俺 昼メシ食ってなかった」

「え、えー？！」


それ、今、気づく？
お腹押さえてガーンって顔してる。

あは、なんてカッコかわいいゆるキャラなのよ。



「あ、そうだ。カロリーメイトならあります」


引き出しを探る。
ご飯がわりにはならないけど腹の足しにはなるし。


ストックで置いてあったのはチーズ風味とチョコ風味の2種類。

チョコ風味のカロリーメイトを手に取り部長を振り向くと、
部長がコートを羽織りながら私を振り返った。



「メシ行くべ。何食いたい？」



え？
“メシ行くべ？”




メシ？

食事？

部長と？

2人っきりで？



聞き間違いかな？




「食べたいものある？」

「え、ホントに？今から？…え、私と？どうして？何でですかー？」

「ンフフ。なにそれ、疑問ばっか」

「そ、そんなの当たり前です！」



頭の中、疑問符が飛び交ってますよ！




「だってカロリーメイトじゃ腹の足しになんねーし」



ああ、可愛い。
その突き出た唇が最高に可愛い。



うんうん、そうよね。
カロリーメイトじゃ腹の足しになるわけないよね。

さっきまでの自分の考えがあっさりと翻る。



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