シンデレラエクスプレス

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デザート何食べようって話になって
部長が「抹茶のアイスにする」と言うので私も同じものをオーダー。



大きな湯のみに並々と注がれた緑茶とアイスが運ばれてきた。
部長は「あちぃ」って言いながら息をフーフー吹きかけてゆっくりお茶を飲んでいる。



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部長の座席の後ろに置いてある小さめの旅行カバン。
これが出張5日間予定の荷物だなんて、信じられない。

1泊2日の社員旅行の時も驚いたなあ。
旅行で荷物がウエストポーチのみなんて、ツワモノとしか言いようがないよね。




「…」



そっか。
部長がこの程度のビールで酔ってるのは強行スケジュールの出張に疲れてるからだよ。

私が残業なんてしなかったら今頃は家でのんびりしてたんだから。
全部私のせいじゃない。



「部長、今日は…」

「今日は付き合ってくれてあんがとね」

「え？いえ、私の方こそ//」

「断りづらい誘い方しちゃったよね」



鼻の頭を掻いてへへへと笑う部長に胸がキュン…、なんてしてる場合じゃない！



「いいえ！私こそ残業に付き合わせてしまって申し訳ありません！」

「ん？残業？…あっ、そーだった！その件は違うくてね」

「それにそれに！
部長にお食事に誘ってもらえるなんて、5億円の宝クジに当たるより嬉しいです！」

「へ？宝クジ？」



私ってば何言ってんの？
多分朝寝起きにつけたテレビで年末ジャンボのCMやってたの見ちゃったからだけど、にしても唐突すぎだよ！



「…えーっとえーっと！
部長とお食事なんてあり得ない奇跡というか、宝クジに当たるくらいの幸運というか、えーっと」


慌てて言い訳するも、段々自分で何を言ってるのか分からなくなる。
1人でワタワタしてたら、やっぱり笑われて、ああもう帰りたい。




「Aクンて宝クジ買う人？」

「……いえ、それが1度も買ったことは、」



だって当たる気しないもん。
他の人は当たっても、私は絶対当たらない自信がある。



「ンフフ。ギャンブルとかも絶対やらないイメージだな」

「…はい、やりません」



賭け事系は私の質素倹約精神に反する、っつーか
自分の働いた対価は自分自身が満足することに使いたい。



「俺もそーいうのやんねーなぁ。
お金が紙くずになるイメージしかねーし、そもそも宝クジってどう買ったらいいかも分かんない」

うんうん！と思いっきり頷く。


「パチンコとかも玉見てるだけなのに何が楽しいんだろ」って首をひねる部長に
そうですよねー。と激しく同意する。



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