超能力姉妹《SPY×FAMILY》 (ページ34)

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「何をしているのですか…」
「おっとこりゃ、治療費も上乗せしてもらわないとな、財布を出しな家政婦さん」

吹っ飛ばした男の仲間がそう言うも、ヨルは所持金を使い果たしたと言い、早く立ち去るように伝える。

「そうかい、じゃあお嬢さんたちの身ぐるみ剥いでおしまいだ、アンタはどうせクビだろうから…とっとと田舎へ帰りなクソメイド!!」

そう言って落ちていたカボチャを手に取り、ヨルへ殴りかかろうとする男。しかし、カボチャごと手刀で貫通し男の顔寸前で止めた。

「カ…カボチャを素手で…」
「…わ…私はその子たちの母親ですッ!!!そのお野菜のようになりたくなかったら早々に立ち去りなさい!!」

ヨルの言葉に逃げる男たち、Aとアーニャは安心したように笑顔を見せる。

「「はは…」」
「大丈夫でしたか？すみません、私が目を離したばかりに…」

二人を優しく抱きしめるヨル、辺りには買ったばかりの野菜が無惨な姿になっている。

「食材もこんなにしてしまったし、私ってばダメな母親です…」
「A、つよくてかっこいいははすき！」
「アーニャも！」

落ち込むヨルに、頭を無でる二人。先程の母親の姿を思い出し、アーニャも真似をして空中をパンチしている。

「それに、ははがたすけにきてくれるって、しんじてた！」
「Aさん…」

そして、二人はヨルにあるお願いをした。

「はは、アーニャたちにとっくんして！」
「と…特訓…？」
「いーでんのせいと、きけんがいっぱいってわかった、でも…」
「とっくんして、つよくなったらちょっとだけこわくない、がっこうでもしなないでがんばれる！」
「「A／アーニャ、ははみたいになりたい！」」

娘たちの言葉に、さっきまで沈んでいた気持ちが軽くなる。少し涙で濡れた目を拭い、ヨルは気合いをいれた。

「よし！(普通の母親らしくふるまうことはできなくとも、私にできることを精一杯がんばろう！)」

"じゃあ早速帰って特訓です!!"そう言って、三人は家へと向かった。

─────･･･

「ただいま…」

ロイドが家に着くと、そこにはパンチの練習をする三人の姿があった。

「せいっ！」
「せいっ！」
「…何してるの？」
「入学準備です!!」

そう返ってきた言葉に、ロイドはどこか遠い目をしながら、思った。

「(マジで不安しかない…)」

ロイドの苦悩は続くのであった…。