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スーパーに着き、買い物をするヨル。普段料理をしない彼女はどんな食材を買えばいいのかわからないでいた。
「(どれが何やらさっぱりなので、全種類買っちゃいましょう)」
「アーニャさきでてる」
そんなヨルの横を買い物に飽きてしまったアーニャが走り去る。
「あっ遠くに行っちゃダメですよ!?」
「はは、だいじょうぶ!Aがついてく!」
「えっAさんまで!?」
ヨルの言葉に構わず、アーニャを追いかけるA。スーパーの入口まで走り、あとすこしでアーニャに追いつくと思ったその時、突然後ろから口を塞がれた。
「むぐっ!?」
「ごきげんようお嬢ちゃんたち、ちょっとだけいい子にしててね」
アーニャの方へ目を向けると、アーニャも同じように口を塞がれていた。
『アーニャ!』
『A!このひとたち、わるもの…!!』
そのまま人気のないところへ連れていかれる二人、連れ去った人たちはニヤニヤと笑いながら、目的を話す。
「メイドさんから小遣いもらったら、放してあげるから」
「制服も高値で売れるって聞いたぜ?」
Aとアーニャは、仕立て屋の店主から聞いた話を思い出していた。
『ほんとだった…!』
『だいじょうぶ、きっとははがきてくれる!』
口を塞がれても、テレパシーで会話する二人だが、恐怖でアーニャの大きな瞳からうるうると涙が溢れていた。そんな妹の姿を見て、Aはチリチリと怒りが込み上げる。
ざわざわと周りの木々が揺れ始め、道端に転がっていた石ころがふわりと浮かび上がり、アーニャを拘束している男の後頭部に当たった。
「いてっ…だれだぁ?!」
「なにやってんだよ」
「いや、だれかに石を投げられてよ…」
周りを見渡すも、自分たち以外の姿は見えない。仲間に催促され、捕まえた二人の制服を脱がそうと手をかける。
「それじゃ、お嬢ちゃんたち、その制服脱」
言葉を言い終わる前に吹き飛ぶ男。その瞬間、Aの目の前には買い物袋から飛び出した野菜と、恐ろしい形相の母親の姿が見えた。
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作者名:神永 夕陽 | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/470/mushroom037/
作成日時:2022年6月12日 1時