超能力姉妹《SPY×FAMILY》 (ページ23)

今日:11 hit、昨日:35 hit、合計:32,557 hit

(4) ページ23

エバンスが質問を続ける。

「お父さんとお母さんに点数をつけるとしたら何点かな？」

二人は顔を見合わせて、頷く。

「「100てんまんてんです」」
「ちちもははもおもしろくてだいすきです！」
「ずっといっしょがいいです！」

Aとアーニャの言葉に、ロイドとヨルは目を丸くし、胸の奥が暖かくなるのを感じた。

しかし、この状況を壊そうと考える男、スワンがニヤリと嫌な顔をしながら尋ねた。

「じゃあ今のママと前のママ、どっちが高得点だ？」

この不躾な質問に、エバンスは注意する。しかし、内容は面倒が個人的に決めていいということらしく、質問を変える気がないようだ。

Aとアーニャも、胸が締め付けられる感覚。

『ママ…』
『ほんとうの、ママ……』

ロイドは孤児院から引き取ったので、実の親はもう……と考える。質問の変更を抗議しても、スワンは、答えなければ減点するという。

二人の瞳からポロポロと涙がこぼれた。

「……A…アーニャ…」
「…ママ…」
「ぐすっ…」

そんな様子を見て、やはり前のママがいいか、とスワンは喜んだ。そんな光景にヨルはAたちの元へ駆け寄る。

「あんまりです！！」
「ヨルさん、落ち着いて」
「だってこんな……」

任務のため我慢するロイド、所詮まがい物の家族、こんな中傷されたことで失態を犯すわけにはいかない。国のためなのだ。そう言い聞かせる。

「そんなささいなことでいちいちべソかいてたらこの学校ではやっていけんぞ！」
「ささいなこと…？ささいなことですって……？」

スワンの言葉に苛立つヨル。右手に力が入る。

「何だい後妻さん、前妻に負けたからってかみつくなよ(あースッキリ)」

その言葉に、ロイドは気づくと拳を振り上げていた。

ガゴォン───

机は割れ、右手から血を流すロイド、パラパラも木くずがこぼれ落ちる。スワンは驚き、ソファからずり落ちそうになっている。

Aもアーニャも涙は止まっていた。

「…失礼、蚊がいましたもので、本日はありがとうございました」

退室しようとするロイドに、スワンが怒鳴る。

「オイどこへ！？まだ終わってないぞ！！」
「子どもの気持ちを軽んじるのが貴校の教育理念なのでしたら、選ぶ学校を間違えました」

おいで、と言いAたちと共に退室したロイド。スワンはまだ喚いているが聞く耳持たず、フォージャー家は部屋を出ていった。