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【監視室】
受験生たちを見定める教員たち。そこに靴を鳴らし、1人の男がやってきた。
「今年の受験生は質が低いな」
エレガンスに欠ける者ばかりだ、そう呟くのはヘンリー・ヘンダーソン、
「エレガンスが伝統を作る、エレガンスこそが人の世を楽園たらしめる」
品のない家族はすべて不合格にしろ、そう試験官に伝え窓の外を見る。そこにはフォージャー家の姿があった。
「少しはエレガンス力がありそうなのもいるな」
双眼鏡を覗き込むと、フォージャー家が初代学長の像に敬礼をしていた。
「エレガント!!ベリーエレガント!!」
あの家族は何者だ、と試験管に問うヘンダーソン。娘アーニャの筆記試験をみて更に驚く。
「ノットエレガント!!字も汚ぇっ!!」
「双子のようで、姉のA・フォージャーは平均点です」
「ふむ、まあいいだろう、父親は再婚か」
「入学目的の即席家族でしょうか?」
「わからん確かめねば」
"真のエレガンスを持ち合わせた者かどうかを・・・"
────・・・
「K212番と213番ですね、こちらを進んだ第1会場へどうぞ」
案内された先にも、監視の目はまだある。ロイドは3人に油断するなと声をかけた。
「アーニャはなくそほじりたい」
「絶対ダメ!」
少し進むと、イーデン校の生徒がドブにハマっている。明らかに振るいに落とすための罠だとわかる。
「うっかりドブにはまって抜け出せなくなってしまったぁ〜〜〜」
すごく困ったぁ〜、と大袈裟に演技する少年。他の人たちは誰も近づかない。
「ちち!はは!」
「こまってるひとがいるます!たすけます!」
Aとアーニャが、近づく。ロイドは大丈夫かい?と少年に声をかける。
「うわ〜手足が滑って上がれない〜〜!!(これも単位のため単位のため)」
じたばたと暴れ出す少年の足を掴み、そのまま引き上げるロイド。もちろん、スーツはドブで汚れてしまう。
「ケガはないかい?」
「はんかちあげるます」
「いむしついくます」
少年は、助けられたのにも関わらずまだ慌てている様子だ。小さい声でごめんなさいと謝っている。
その様子をみていたヘンダーソンは拍子抜けと言わんばかりに落胆し、フォージャー家をつまみ出せと言う。
「(ボクのせいで不合格に…)」
「こんなこともあろうかと着替え一式持参しておいて良かったですね!」
すぐに汚れた服を着替えるAたち。監視室ではヘンダーソンも引いていた。
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作者名:神永 夕陽 | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/470/mushroom037/
作成日時:2022年6月12日 1時