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「ただいま」
「ロイドさん、おかえりなさい!」
「ちちー!」
ロイドが家に着くと、ヨルとアーニャが出迎えてくれた。二人はすぐに小さな花束に気づく。
「その花、どうしたのですか?」
「帰りに花屋を通ったらAさんにお会いしてね」
「あら、そうだったんですね!」
Aさんから、アーニャへプレゼントだよ。そう言ってロイドはアーニャへ花束を渡す。
「ドッヂボール、お疲れ様って言ってたよ」
「アーニャ、このはなすき!」
いいにおい〜、と花を抱きしめる。
「アーニャさん、せっかくのお花が潰れてしまいます」
花瓶に飾りましょう!とヨルは花を飾った。
「花があると、雰囲気が変わっていいですね」
「アーニャんち、れすとらんみたい!」
ぴょんぴょんと喜ぶアーニャをみて、二人も頬を緩める。
───────・・・
pipipi───
携帯のメールが来たようだ。Aはそっとメールを開く、姉からのメール、そこにはアーニャが花をもらって喜んでいたという内容。
「まあ、よかったです」
呟くAの足元には、闇カジノのオーナーであった男が複数のボディガードとともに床に転がっていた。
「うっ…貴様、一体誰の差し金で…」
「あら、まだ息がありましたか」
すみません、すぐに楽にして差し上げますね。
言葉とは裏腹に優しい笑顔で細いワイヤーを指で弾く。事切れたのを確認し、Aはその場を後にした───
「そういえば、明日は兄さんが来るんでした…」
いつも突然来る兄さんが、前もって連絡してくるなんて珍しい…と思いながら、返り血で汚れた体を自宅のシャワーで洗い流していく。
「あっ…夕飯はどうしましょう…」
Aも姉同様、料理が苦手だった。その分、片付けは得意で部屋の中も必要なものしかない。
冷蔵庫の中をみて、買い出しは明日にしようと思うAだった。
濡れた髪を乾かすのも面倒くさく、そのままベッドに倒れ込む。明日も仕事がある、姉や兄には『リコリス』のことは話してない。話せば当然止められるし、殺し屋だなんて知ったら二人にも迷惑がかかってしまう。
そもそもAが殺し屋なんて物騒な仕事をするようになった理由、それは至極単純なことだった。貧しい生活を過ごしていたAは、姉や兄を困らせないためわがままを言ったことがない。
自分の生活は自分でなんとかする、幼い時からそう決めていたため、お金がたくさんもらえる仕事を探していたところ、いまの店長に出会った。
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作者名:神永 夕陽 | 作者ホームページ:http://id27.fm-p.jp/470/mushroom037/
作成日時:2022年6月1日 12時