リコリスが咲く《SPY×FAMILY》 (ページ2)

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01.姉さんの結婚祝い(1) ページ2

「や、やめてくれぇー！」

ゴキッ───

男の断末魔が途絶えると、暗闇から赤いドレスの女がヒールを鳴らして歩いてくる。

「ふぅ…お片付け、おわりました」

彼女の足元には人だったものが無数に転がっている…。それを踏まぬように歩を進めると、再び闇に消えていった───･･･

「あっ！いけない！今日は兄さんと姉さんの結婚祝いに行くんだった！急がないと！」

そう言って走る女は、A･ブライア、彼女は殺し屋《リコリス》

誰も彼女の服が返り血で染っていることに気づいていない。

「兄さんが来る前に帰って来れてよかった！早くシャワー浴びて着替えないと！」

鼻歌を歌いながら、シャワーを浴びる。先程の凶行などまるでなかったかのように…。

───────･･･

ジージージーッ

玄関のベルが鳴る。彼女は急いで扉を開けた。

「兄さん！久しぶりね！」
「A！ダメじゃないか！そんなすぐに開けたら！僕じゃなくてストーカーや、暴漢だったらどうするんだ！」

兄、ユーリ･ブライアはシスコンだった。

「しかもお風呂上がりじゃないか！はっ！まさか僕のために……！！」
「(なんで、お風呂上がりってわかったのでしょう？)兄さん、落ち着いて？今日は姉さんのところに行くんでしょう？」
「あぁ！そうだった！A、早く行こう！」

姉さんが結婚なんて絶対に認めない！とブツブツ言いながら、ユーリ･ブライアは姉に対しても、かなりのシスコンだった。

バラの花束を持って、姉の嫁ぎ先、フォージャー家へと向かった。