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一年前の記憶2 ページ8

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「A……!来ちゃダメよ!」









母親の叫び声が聞こえるなか、目の前に飛び込んできたのは頭から血を流して倒れている父親と、拳銃を知らない誰かにむけている母親。
ドアを開けるとそこはすでに荒れていた。









「……何、してるの?
お母さん……?」









母親が父親を撃ってないことくらい分かってた。
……でも、なんで……?
なんでこんなことになってるの?














「あら、可愛らしい娘ちゃんね……
……あなたも、そろそろ子供の前でその恐ろしい顔はやめた方がいいんじゃないかしら?」









誰……この人……









髪を短く切りそろえた女の人が立っていた。









「A!逃げなさい!
そうしないと一生恨むわよ!」









恨む……?









「でもっ……体が動かないよっ……?」









全然頭が働かない。
目で見たり聞いたりしていることに頭で考えていることが追いつかない……









知らない人が近づいてきてる……









この人は誰?









なんで入ってきたの?









お父さんを殺したのはこの人?









「止まりなさい!撃つわよ!」









お母さんはどうして銃を持ってるの?









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私はどうしたら……









そんな時だった。









目の前に、大好きな人の顔があって……









いつも優しいあの顔が……









とても苦しそうで……









何も聞こえなかったけど……









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母親が撃たれたことを理解するまでそう時間は必要なかった。









「っ……あっ……はぁっ……っ……」









声にならない声が口から溢れてくる。















なんで?
今何があったの?











なんで……お母さんが……?









私を庇ったの?









じゃあ……私が来なかったらよかった……?









「子供をかばって死ぬなんて……やっぱり母親は母親ね」









そんな言葉も、私の耳には届かなかった。









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作者名:クグロフ | 作成日時:2018年6月12日 14時

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