遅かった【降谷零】 ページ32
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遅かった。
もう、あいつは……
頭に何かが込み上げてくる。
拳銃で……心臓をやられていた。
目の前が、赤く滲んで見えてくる。
ライは何を考えてこいつを殺せたのだろう。
やっとたどり着いた屋上は……もう、あいつの血で染まっていた。
景光と……Aをみて……何も思わなかったのだろうか。
俺の頭の中で……目で見た情報と感情がぐるぐると回り続けていた。
「降谷さん……緑川潜入捜査官の遺体は鑑識に回しました」
そう言う風見の声で、また、アイツが死んだことが現実だということを思い知らされる。
「それで……御親族の方に報告をと思ったのですが……
今、存命の親族が姪の阿井Aさんだけだそうです」
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……そうか。
景光にとって血が繋がっていたのはアイツただ1人。
言い換えれば……
アイツにも景光はそんな存在だったってことだ。
そんな存在が死んだ……と、まだ幼さが残る高校生に誰が伝えに行きたいと思うだろうか。
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「わかった、俺が行く……」
風見の制止も聞かず、俺はあいつの店へと足を運んだ。
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作者名:クグロフ | 作成日時:2018年6月12日 14時