弱音 ページ3
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静かなこの店に、時計の音だけが響いている。
｢すみません、今日は部活が長引いちゃって。
お待たせしてしまいましたね｣
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｢……いや｣
なんて言ってるけど、本当はこの様子じゃそうとう待たせてしまったはずだ。
｢……こんなにお酒飲んで……事故にでもあったらどうするつもりだったんですか？｣
足元もおぼつかないようで、いつもの覇気が感じられなかった。
ただ単に不安になって……色んな感情が入り交じって……少し強い言い方になってしまった。
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｢……｣
｢……｣
違う……こんな言い方じゃだめだよ……
でも……助けるったって、どうしたらいいのかもわからない……
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｢……ぜ｣
｢俺は、1人だ……｣
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私の返し方が悪かったのか違うのか……
ゼロさんはポツリポツリと話し始めた。
｢……俺の周りの人間はすぐに居なくなる……｣
｢名前の通りだと言われたらその通りだよな｣
それは、初めて見るゼロさんの弱音で。
｢本当に……どうしようもないぐらい……｣
思わず体が動いていた。
｢弱い｣
そう耳元で呟かれた。
私は、ゼロさんの背中をを抱きしめるようにしてさすっている。
このまま離していたら消えてしまいそうで。
いなくなっちゃいそうで。
｢違う……｣
こんなことまで口走っていた。
｢あなたは1人じゃない……｣
私の腕の中で微かに震えるのがわかる。
｢あなたに何があったかなんて聞かないけど……
私のことを忘れてもらっちゃ困りますよ｣
こんなに近くにいるのに、俺は1人だなんて言われて……
頼ろうとしていた私がバカみたいで。
私は、結構仲良くなれてたと思っていたんですよ?
しかし、彼から返ってきたのは意外なものだった。
｢……確かに、お前はここにいる。
だからこそ……お前を巻き込みたくないんだ｣
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作者名：クグロフ | 作成日時：2018年6月12日 14時
