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はぁ、はぁ……









降りしきる雨の中、私は店を目指していた。









もしかしたら、もしかしたら来てくれてるかもしれないから。









「っ……いた……」









ゼロさんだ……









雨の中、軒下でたたずんでいる彼の姿ん見ただけでこらえていたものが出そうになる。









「……ゼロさん」









……何も返ってこない。









……嫌な予感がする。
なんか……頼ってはいけない気がする。
直観的なものだけど、そう思った。









「ゼロさ……」









そう言いかけた時だった。
彼の頬に涙が伝った跡が見えたのは。









随分と前から待っていたのであろう。
肩や髪が濡れている。
……でも顔だけは違っていて。









一筋の涙の跡だけがハッキリとわかった。









あーあ……









そりゃそうだよね……
私よりはるかに危険な現場にいるんだから。
この人を苦しめてしまうことだってあるにきまっているのに。









そんな人に私が頼ろうだなんておこがましいにも程があったのに。









きっとあの時言ってくれた頼っていいは本物だと思う。
でも……こんな思いをしてる人に私は頼れないよ。
これ以上重荷を与えてしまうことになるから。









わかってたよ……そんなことぐらい。









でも、馬鹿だよね。









わかってたのに……
こんなにも辛いだなんて……









まぁ、今までだってそうしてきたし。
これくらいどうってことない……
たかが、今日のことで私の心がどうこうなるわけじゃない。









だから……









私がこの人を今は助けてあげなくちゃ。









約束したから。








私には失うものなんてないから。







大丈夫だから。







いつもの笑顔も忘れずに。









たとえこの笑顔で、あなたに嘘をついてるのだとしても。







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作者名:クグロフ | 作成日時:2018年6月12日 14時

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