UP10TION組は私の共犯【短編集】 (ページ4)

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広い背中【ヨハン】ページ4

もはや日課となりつつあるヨハンとの早朝ランニング。

今日も着替えて宿舎の外に出るとヨハンの姿があった。

「ヨハン兄さん、今日も早いですね！」

「ハルこそ。毎日欠かさず起きるから偉いよ。」

「子どもの頃から毎朝走ってたんですよ。」

2人は靴紐を結びなおしながら話を続ける。

「ハルって何かスポーツしてたの？」

その質問に言葉を詰まらせるA。

テコンドー一直線だったAはその時弟のハルがスポーツをしていたのか、など覚えていなかった。

(確か何もしてない…！多分何もしてなかったはず…！)

「してないですよ、姉さんに無理やり起こされて走らされてたんです。」

そうして急所を抜けたAと、ヨハンは走り始めた。

10分後…、

「……イタっ！」

斜め後ろを走っていたAがそう言ったかと思うと、こけるような音が聞こえたので、ヨハンは急いで振り返る。

案の定、地面に倒れ込んでいるAがいた。

「…大丈夫？
…何もないところで転んだの？」

辺りには段差も何もない。

「…お恥ずかしながら。」

笑いながら言うAだが、足首を抑えていたのをヨハンは見逃していなかった。

「ほら、足痛いんでしょ。」

しゃがんで背中をAの方に向ける。

「大丈夫です、歩けます。」

立ち上がろうとするAの手を取って無理やり背中に乗せる。

立ち上がりながらヨハンは言う。

「この怪我のせいで一緒のステージに立てなくなったら嫌だろ？
大人しく背負われとけ。」

この日のヨハンの背中はとても大きく見えた。