第13話:唯一 ページ15
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家に帰ると珍しく太宰さんはもう帰っていた。
リビングに入ると太宰さんがソファに座ってお酒を飲んでいた。
机には何本も開けられた瓶が置かれていた。
『太宰さん…?』
太「……A…?」
『!飲み過ぎですよ!お水入れますね』
キッチンへ行き、コップにお水を入れようとすると、後ろから抱きつかれた。
『わぁっ!?』
太「A……A…」
そう言って抱きしめる力を強めてくる。
『太宰さん?どうしました?』
太「ごめん…でも…今だけは……」
私に抱きついている太宰さんがあまりに弱々しく感じてしまって、私はコップを置き、太宰さんの腕にそっと手を置いた。
______太宰side
今日は休みだった。
Aは仕事だし、私は街をふらふらと歩いていた。
そこでまた彼女に似た女性を見つけ、声を掛けた。
その女性もすぐにニコニコと笑って付いてきた。
そしてまた用が済めば女性を置いてホテルを出た。
またこの繰り返し。
心に穴が空いたように寂しい。
昨日、Aと出掛けたときはあんなに楽しかったのに。
家に帰ってみても誰もいない。
当たり前だ。彼女は仕事中だもの。
私は家にある酒を出し、寂しさを埋めるように飲み続けた。
何本も何本も開け、流石の私も酔ってきたかなと思った頃、
『太宰さん…?』
心地よい聞きなれた声。
太「……A…?」
彼女は机の瓶の数を見て驚いたようで、水を入れてくるといってキッチンへ向かった。
その後ろ姿を見ていると、そのまま手の届かないところへ行ってしまいそうで怖くなり、水を入れようとする彼女を後ろから抱きしめた。
『わぁっ!?』
太「A……A…」
名前を呼ぶ度に心の穴が埋まっていくような気がした。
『太宰さん?どうしました?』
太「ごめん…でも…今だけは……」
___このままでいさせて。
そう思っていると彼女はそっと私の腕に手を置いた。
嗚呼、やっぱりこの子じゃなきゃダメだ。
もうやめよう。
この子の代わりを求めるなんて。
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アミ - 更新おめでとう御座います!太宰さんと夢主ちゃんが幸せになることを願っています!更新頑張ってください! (2020年4月21日 11時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
水月(プロフ) - アミさん» ありがとうございます!頑張ります(^^) (2020年4月8日 16時) (レス) id: b463e0700f (このIDを非表示/違反報告)
アミ - すごく面白かったです!更新頑張って下さい! (2020年4月8日 13時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
水月(プロフ) - あげはさん» わあぁそうなんですか!ありがとうございます。頑張ります! (2019年6月21日 21時) (レス) id: b463e0700f (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - (っω<`。)ドキドキです。大好きな作品で毎日続きを頭で気にしながら過ごしてます。頑張ってください。 (2019年6月20日 19時) (レス) id: b629904c03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水月 | 作成日時:2019年6月10日 20時