検索窓
今日:7 hit、昨日:24 hit、合計:147,598 hit

第13話:唯一 ページ15

______


家に帰ると珍しく太宰さんはもう帰っていた。

リビングに入ると太宰さんがソファに座ってお酒を飲んでいた。

机には何本も開けられた瓶が置かれていた。

『太宰さん…?』

太「……A…?」

『!飲み過ぎですよ!お水入れますね』

キッチンへ行き、コップにお水を入れようとすると、後ろから抱きつかれた。

『わぁっ!?』

太「A……A…」

そう言って抱きしめる力を強めてくる。

『太宰さん?どうしました?』

太「ごめん…でも…今だけは……」

私に抱きついている太宰さんがあまりに弱々しく感じてしまって、私はコップを置き、太宰さんの腕にそっと手を置いた。





______太宰side

今日は休みだった。

Aは仕事だし、私は街をふらふらと歩いていた。

そこでまた彼女に似た女性を見つけ、声を掛けた。

その女性もすぐにニコニコと笑って付いてきた。



そしてまた用が済めば女性を置いてホテルを出た。

またこの繰り返し。

心に穴が空いたように寂しい。

昨日、Aと出掛けたときはあんなに楽しかったのに。

家に帰ってみても誰もいない。

当たり前だ。彼女は仕事中だもの。

私は家にある酒を出し、寂しさを埋めるように飲み続けた。

何本も何本も開け、流石の私も酔ってきたかなと思った頃、

『太宰さん…?』

心地よい聞きなれた声。

太「……A…?」

彼女は机の瓶の数を見て驚いたようで、水を入れてくるといってキッチンへ向かった。

その後ろ姿を見ていると、そのまま手の届かないところへ行ってしまいそうで怖くなり、水を入れようとする彼女を後ろから抱きしめた。

『わぁっ!?』

太「A……A…」

名前を呼ぶ度に心の穴が埋まっていくような気がした。

『太宰さん?どうしました?』

太「ごめん…でも…今だけは……」

___このままでいさせて。

そう思っていると彼女はそっと私の腕に手を置いた。

嗚呼、やっぱりこの子じゃなきゃダメだ。

もうやめよう。

この子の代わりを求めるなんて。

第14話:いつもと違う→←第12話:名探偵と探偵社



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (170 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
513人がお気に入り
設定タグ:文スト , 太宰治 , 浮気
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

アミ - 更新おめでとう御座います!太宰さんと夢主ちゃんが幸せになることを願っています!更新頑張ってください! (2020年4月21日 11時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
水月(プロフ) - アミさん» ありがとうございます!頑張ります(^^) (2020年4月8日 16時) (レス) id: b463e0700f (このIDを非表示/違反報告)
アミ - すごく面白かったです!更新頑張って下さい! (2020年4月8日 13時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
水月(プロフ) - あげはさん» わあぁそうなんですか!ありがとうございます。頑張ります! (2019年6月21日 21時) (レス) id: b463e0700f (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - (っω<`。)ドキドキです。大好きな作品で毎日続きを頭で気にしながら過ごしてます。頑張ってください。 (2019年6月20日 19時) (レス) id: b629904c03 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:水月 | 作成日時:2019年6月10日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。