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第6話:理由 ページ8

______太宰side


半年前くらいだったか。

私は浮気するようになった。

Aが嫌いになったとか興味がなくなったとかそんなことはない。

端的に言えば、好きだからこそ浮気をしている。



Aが出張に行ってから3日が経った。

調査員でもないのになぜ指名されたのか。

よくわからないけれど、後4日間も彼女を見ることはない。

仕事のやる気なんかいつも以上に出るわけもなく、結局一日中だらだらと過ごした。



家に帰るため、街を歩く。

そこでふと1人の女性に目を止めた。

太「嗚呼なんて可憐な女性だ。少しお茶でもどうだい?あ、バーでもいいよ?」

「え?」

女性は此方を見て、頰を赤らめた。

もう一度尋ねると「はい」と答えて笑った。

その瞬間に茶髪のふわふわとしたロングの髪が揺れた。



お茶をして、夜になった頃には彼方も敬語で話すのを止めていた。

この後どうしようかと思った時。

「私あなたの家に行きたい」

女性はそう言った。

Aが出張に行ってからは何回か色んな女性の家に行った。

けれども私の家に入れたことはなかった。

太「……いいよ」

彼女はまだ帰ってこないのだろうし、別にいいか。と、家に入れた。



家に入れてから少し話をしてちらりと女性の方を見た。

ふわふわと巻かれた髪に手を伸ばして触れ、少し顔を近づけた時。

「ねえ。いいの?彼女帰ってこない?」

やめてくれ。

太「出張に行ってるからね。帰ってくる心配はないよ」

「あはっ彼女かわいそ〜」

太「……はぁ。煩いなぁ」

もう喋らないでくれ。

私は女性にキスをして口を塞ぐ。

唇に塗られたグロスがベタベタする。

___ああ、違う。

女性が私を求めるような甘い声を出してくる。

___この人はあの子じゃない。

容姿が少し似てたってあの子になるはずもない。

当たり前。わかったことだ。

だけれども、私には彼女に手を出す勇気がない。

半年前、家のソファで寝ていた彼女を見て…寝ながら私の名前を呼ぶ彼女を見て、本気で手を出しかけた。

その時に感じた、拒絶されることへの恐怖。

もしAにも離れていかれてしまったら。

そう考えて、彼女へ伸ばした手を引っ込めた。

きっと彼女に触れて、キスでもしてしまったのなら私はそのまま止めることはできないだろう。

だから彼女には近づかない。

私を抑えられる自信がないから。



そして私はまた彼女に似た女性を見つけては浮気をする。

第7話:依頼は→←《作者から》



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アミ - 更新おめでとう御座います!太宰さんと夢主ちゃんが幸せになることを願っています!更新頑張ってください! (2020年4月21日 11時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
水月(プロフ) - アミさん» ありがとうございます!頑張ります(^^) (2020年4月8日 16時) (レス) id: b463e0700f (このIDを非表示/違反報告)
アミ - すごく面白かったです!更新頑張って下さい! (2020年4月8日 13時) (レス) id: 808cf034c3 (このIDを非表示/違反報告)
水月(プロフ) - あげはさん» わあぁそうなんですか!ありがとうございます。頑張ります! (2019年6月21日 21時) (レス) id: b463e0700f (このIDを非表示/違反報告)
あげは(プロフ) - (っω<`。)ドキドキです。大好きな作品で毎日続きを頭で気にしながら過ごしてます。頑張ってください。 (2019年6月20日 19時) (レス) id: b629904c03 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水月 | 作成日時:2019年6月10日 20時

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