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笑ってはいるが
どこか切ない表情の店長。
永瀬『むしろ、俺の方が美味いもん。』
「……」
永瀬『俺のがイケメンやし…』
妙な自信も、
今はどこか虚しそう。
「何処のお店に行かれたのですか?」
永瀬『ここ』
私に携帯を渡して
店長は頬杖をつき不貞腐れた顔をする。
そのお店は
この店と雰囲気が似ていて
同じく昭和の香りがプンプンしそうな
どしっとした佇まいの古典居酒屋。
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指でスクロールしていくと
料亭なんかに出てきそうな
綺麗に盛られた料理が数々と載っていて
最後のページには
50代くらいの
厳しそうな店主の写真もあった。
俺のがイケメン
ってこれは…比べる対象でも無さそうだけど。
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「…ここのお店、評価凄いですね」
永瀬『やろ?…でもマジで食ってみ?』
「…え?」
永瀬『絶対俺の方が美味いのよ。ほんまに。』
店長がそう言うのだから
きっとそうなんだろうな。
じゃあ、どうして
こうも違うのか。
永瀬『もー、分からん。』
「…」
永瀬『俺にはぁ〜分かりません知らん寝る』
「…え、店長!?」
永瀬『…んー』
すると店長は
机に顔を伏せて
そのままの状態で静かになる。
え、ほんとに寝るの…?
私は、恐る恐る
店長の肩を指でツンツンする。
店長、結構お酒飲んだのかな。
ちょっとだけ、
口調がいつもと違った気がするし。
私が思っている以上に
店長はこの状況が不安なのだろう。
店長が自分の店を守るのも、
私が自分の生活を守るのも、
安定なんて何処にもなく
常に不安が押し寄せる。
「……」
私は店長の肩に
優しく触れて
トントンっとリズムよく叩いてみる。
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永瀬『…A〜』
「…わ、…」
まだ起きていた事に驚き
私はとっさに手を離す。
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永瀬『……A〜』
「は、はい?…どうしました?」
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永瀬『…無理に笑うな』
「…へ?」
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なんの話をしているのか
私はさっぱりだった。
酔っているからか、
店長の言葉に主語はなく
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永瀬『不安な時はなぁ〜』
「……」
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永瀬『素直に甘えたらええねん…』
「…店長、なんの話を」
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永瀬『…ふふ、…17歳の特権やろ』
「……」
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ayu(プロフ) - にこさん» 他担さんですか!?ええ、嬉しい\(//∇//)\★店長永瀬に沼落ちでしたか!?やった★これからも私の自由な妄想にお付き合い頂けると幸いです★ (2021年6月7日 23時) (レス) id: 48c3815e05 (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - ☆。..*アイス*..。☆さん» アイスさん(o^^o)最近、占ツク低浮上ですいやせぇん…m(_ _)m笑 どのお話も大好きだなんて…★もう、好き!アイスさん好きー!!!\(//∇//)\ふふふ (2021年6月7日 23時) (レス) id: 48c3815e05 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 初めまして☆他担ながら、こっそり拝見させて頂いてました!(笑)ayuさんのお話の進め方や言葉の選び方が本当に素敵で、引き込まれて沼落ちしたのがこの作品です!店長最高。どのお話もすっごく好きで、更新楽しみにしてます◎頑張ってくださいね。 (2021年6月7日 21時) (レス) id: 2beed3f33a (このIDを非表示/違反報告)
☆。..*アイス*..。☆(プロフ) - ayuさん!いつも楽しく読ませてもらってます!どのお話も大好きで大好きで…!Twitterの方にも感想を送らせてもらってます!あとコメントにありますが、題名や設定などは読んでいれば分かる話でしょう。ayuさん気にしないでくださいね!これからも楽しみにしてます! (2021年6月7日 14時) (レス) id: b777a69647 (このIDを非表示/違反報告)
米 - 題名の『甘い夜』にした理由を教えてください。よく分からなかったので。 (2021年6月7日 13時) (レス) id: 6420a4fbbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayu | 作成日時:2020年11月8日 7時