～小さな世界～【永瀬廉】２ (ページ28)

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ren side…

大きなクリスマスツリーを

目を輝かせながら眺めるA

その横顔を盗み見た後、

俺も同じようにツリーを見上げた。

こんなキラキラしてんねや

クリスマスツリーって。

今まで素通りやったから知らんかったわ。

.

「廉、これ買ってよ。」

ボーっとツリーを眺めていれば

隣からこんな事を言い出すAと目が合った。

『…んふふ、大き過ぎるわ。』

「え、小さかったらいいの？」

『…おん、別にええよ。』

意外な返事やったからか

Aは更に目を丸くして驚いていた。

まぁでも。

あんな可愛い顔するんやったら

このデカいツリー買うんもアリやな

とか、密かに思ったりもして。

.

.

俺の腕にがっしり掴まりながら隣を歩くA。

身体を寄せ合い、

左半分の密着している部分は

なんか心地が良い。

.

Aと過ごす毎日は

俺からしたら全て新鮮やった。

2人で飯食うだけでも楽しかったり

眠るまでの時間が幸せやったり。

.

どうでもいいと思っていた事が

今はどうでもよくなくて

諦めてた事も

諦めたくないと思うようになって

何の為に一人で今までやってきたか

それはもしかしたら

全部Aと出会う為のものやったんかな。

とかちょっとくさい事を考えたりもする。

.

「なんで要らないか教えてよ。」

『んふふ、なにがよ。』

.

欲しいものなんて無い。

Aさえ居れば俺はそれでいい。

.

「もしかしたら、私と同じ理由かもよ？」

『……』

俺を見上げてそんな事を言うAに

分かりやすく目をそらす。

.

『そうやといいな。』

「あー、言わないつもりでしょ。」

『んふ、…言わんよ。』

同じように、

Aにとって俺が

満たされる存在やといいな。

.