～小さな世界～【永瀬廉】２ (ページ21)

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岸『Aさんお疲れ様っ…て』

「あ、岸くんお疲れ様です！」

岸『今日、なんかお洒落じゃないっすか！？』

次の日

今までで1番スムーズに仕事を終わらせて

ロッカールームにこもり

普段着ないようなロングスカートと

柔らかい生地のブラウスを袖に通して

髪を整えて

メイクを整えて

鏡を見て

「…よしっ」

と気合いを入れ

ロッカールームから出たすぐの所で

岸くんとたまたま目が合った。

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岸『どっか行くんすか？』

「ふふふ…、はい。」

岸くんは一瞬だけ目をそらした後

なんだか気まずそうに顔を傾けて

岸『デート、…とか？』

「…え？」

岸『や、その別に！さっせん、お疲れ様でしたぁ！』

「あ、ちょ…」

何故かその場から逃げるように

走って行ってしまった岸くん。

なんだったんだ。

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私は気付けば小走り気味に

出口へと向かっていた。

廊下の窓からは

すっかり日が沈んだ夜の景色。

早く

早く

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病院の1階に辿り着き

ようやく出口へと着いた私。

ふぅー

と軽く深呼吸をして

私は病院の外に出た。

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すると、

「……」

近くの花壇に

脚を組みながら座る大好きな人の影。

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たった数週間

会えなかっただけなのに

その面影を見るだけで私は胸を熱くした。

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「…永瀬さん！！」

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思わず大きな声で名前を呼ぶ。

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その声に反応した彼はすぐに顔を上げて

そっと立ち上がり

ゆっくり私の元へ、自分の足で歩いて来た。

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そして

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永瀬『お疲れ様』

少し照れたように笑いながら

永瀬さんは私の頭を撫でてくれた。

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