～小さな世界～【永瀬廉】 (ページ9)

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見回りをしながら

点滴確認や、寝付けない人のフォローをした。

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最後に永瀬さんの部屋に辿り着き

ノックはせずにゆっくりと扉を開ける。

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真っ暗な部屋の中

仰向けに眠る永瀬さんの姿を遠目で確認し

そのまま部屋を出ようとした

その時だった。

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なんとなく

永瀬さんの寝息が荒くなり始める。

呼吸が乱れるような、苦しむような。

「永瀬さん！？」

急いでベットに駆け寄ると、

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すごい汗。

眉間にシワを寄せて

顔を右に向けたり左に向けたり。

私は永瀬さんの肩を軽く叩きながら

何度か名前を呼んでみる。

すると、

永瀬『………っ！……』

勢いよく永瀬さんの瞼が開いた。

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「大丈夫ですか！？どこか、痛みますか？」

永瀬『……っ…………』

声をかけていくうちに

徐々に呼吸は整い始める。

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そっか。

そういう事か。

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「…怖い夢でも…見ましたか？」

永瀬『……』

反応は無いが

ゴクと唾を飲み込む仕草。

額には汗の水滴で無数に光る。

永瀬さんの肩を優しく撫でながら

「…お水持ってきます。汗も拭きましょうね。」

そう言って、

椅子から立ち上がろうとした時

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私の手に

永瀬さんの硬いギブスが強く当たる。

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「…えっ？」

永瀬『……』

永瀬さんは、

薄目を開けてしっかりと私を捉えていた。

ギブスのついた左手が

私の手を何度かポンポンと

何かを訴えるように当ててくる。

そして、

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永瀬『…行かんといて』

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時が止まった。

胸をギュッと締め付ける。

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私の身体の機能は、

一度全て停止した。

「……」

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永瀬『……』

私の手に触れてくるギブスは

力無くベットに落ちる。

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はっ…

いけない

ここで私が返事をしてあげなきゃ

意味がないじゃない。

私は無理矢理脳を叩き起こして

冷静に振る舞う。

「分かりました。」

永瀬『……』

またパイプ椅子に腰を掛け

私は永瀬さんの肩を何度か優しく撫でてあげた。

ゆっくりと瞼が下りていく永瀬さんを

私は黙って見守った。

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