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「永瀬さん、おはようございます。」
昨日はあれから
お話が出来たわけでも
また目が合う事もなく終わった。
「食事持って来ましたよ。」
サイドテーブルに朝食を置いて、
「……」
私は再び、
あえてカーテンを閉めてみた。
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すると一瞬だけ視線は重なるが
それはすぐにそらされてしまう。
だけど
目が合うようになっただけでも
私は大きく進歩したと思うよ。
「永瀬さん、今日は食べましょう？ね？」
永瀬『……』
「顔色も、良くないです。」
永瀬『……』
金色の髪がそうさせるのか
まるで言うことの聞かない
ライオンの赤ちゃんに見えてきたよ私は。
「私が、食べちゃいますよ？」
永瀬『……』
「本当に食べますよ？」
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私は絶対にやっては行けない事を
もう怒られる覚悟でしてみる。
ゆっくりと手を伸ばしロールパンを掴む。
すると、
永瀬さんは不思議そうに
そのロールパンを目で追い始めた。
おっ…
これは効果あり？
ロールパンを自分の口元へ持っていき
そのままパクッと一口食べてみた。
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味のないパンほど苦痛な事はない。
味、うっすーー……
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「んん！！美味しいぃーー！！」
全然美味しくない。
でも、
永瀬さんはこちらを見ている。
驚いた顔をしてじっと私の方を見ている。
お！！
もしや、チャンスなのでは…
「あーー、美味しいなぁ〜」
永瀬『……』
「こんなに美味しいのになぁ〜、勿体ないなぁ〜」
永瀬『……』
私は、
全力で美味しい演技をした。
.
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よし、このまま
食べてくれたら…
そう思った私は
そのパンを一口分にちぎって
ゆっくりと永瀬さんの口元へと持っていき
.
「…一口、いかがですか？」
永瀬『……』
.
.
だけど、
「…あっ」
.
永瀬さんはプイッと横を向いてしまった。
.
「………」
.
なんだ。
チャンスだと思ったんだけどなぁ。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月19日 11時
