～小さな世界～【永瀬廉】 (ページ40)

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ガラガラ～

「永瀬さん！！」

勢いよく扉を開けて

永瀬さんの眠るベットに向け

私は大声を出す。

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そしてすぐに

私は嫌な予感がした。

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「…永瀬さん？」

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ゆっくりとそこへ近づき

冷たくなったベットシーツに手を添えて、

「永瀬さん…」

永瀬さんの残像だけを残したベット。

誰もいない寂しい部屋で、

「…やだ…！！」

私は急に胸騒ぎがして

慌てて部屋を飛び出した。

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病院の中を無我夢中で走った。

何処にも居ない、姿もない

それだけで嫌な汗をかき始める。

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何処に行ったの永瀬さん

まだ、怪我も安定してないのに

ちゃんと歩く事も出来ないし

一人で車椅子に乗ることも

「…車椅子」

私はピタッと足を止める。

部屋の中に、

車椅子があったかどうかなんて忘れた。

そんなの、見る余裕なんてなかった。

もしかしたら…もう外に…

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「…屋上なんて、…まさか行ってないよね」

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最悪の事が、頭をよぎる。

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私はエレベーターを使い、

迫る気持ちを抑えて屋上へと向かう。

許さないよ。

絶対に許さないから。

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勝手に終わろうとなんてしたら、

私は、

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「永瀬さん！！…はぁ…はぁ……」

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車椅子に乗って、

遠い空を見上げていた様子の永瀬さんは

驚いた顔をして息切れの私をただ黙って見つめる。

「…はぁ…永瀬さん」

永瀬『……』

私はヨロヨロになりながら

ようやく永瀬さんを捕まえた。

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そして、

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永瀬『…なんで』

「なにしてんのよ馬鹿！！！」

永瀬『…っ！』

涙目になりながらも

しっかりと永瀬さんを捉えて離さない。

「なにしようとしてんの！！？

私許さないから！！勝手に終わろうとなんてしたら

そんなの、絶対に許さない！！なんでよ…なんで

一人で何もかも背よおうとするの？頼ってよ！

私が側に居るじゃない！ずっと居るじゃない！」

しゃがんで座り私は

永瀬さんの右手をギュッと強く握る。

「永瀬さんの味方だって言ったじゃん。

忘れた？もう、信用ない？私、そんなに頼りない？」

全部、吐いてよ。

やめたくなる前に、

私に全部、吐いてよ。

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