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永瀬さんのキラキラした瞳は
一瞬で暗い色へと変わる。
どうやら期待していた答えとは違ったようだ。
「そんな事より、どうされました？」
だけど、その期待には添えられないので
あえてそこは気にしないフリをする。
永瀬『…こぼれた。』
「…ん？」
永瀬さんは自分のお腹周りを見て
眉を下げ困り顔。
よく見ると、
「あら、お水こぼしちゃいましたか？」
永瀬『…うん。』
「ありゃりゃ、…これは冷たいですね」
びしょ濡れになった布団や
永瀬さんのシャツ。
永瀬さんは左利きだ。
慣れない右手でご飯を食べたり
物を持つ事にまだ慣れていない状態。
きっとそれで、
こぼしてしまったのだろう。
「大丈夫ですよ！新しいもの、用意してきます」
永瀬『ごめんな。』
「全然！気にしないで下さい！」
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私は新しい男性用のシャツと
夏用のシーツや布団を取りに廊下を走った。
「貴方、なにしてるの？」
すると、
沢山の荷物を抱えた私に声を掛けてきたのは
私服に着替えたリーダーだった。
「…あ、…いや、永瀬さんが」
「貴方、今日夜勤じゃないでしょ。」
「…はい。」
冷たい眼差しを私に向けて
コツコツとヒールを鳴らし
こちらに近づいてきた。
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「一生懸命頑張ってます、って言いたいの？」
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なんだか唐突に喧嘩を売られた気分。
私は、
はい？
というマヌケな顔をしてリーダーを見る。
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「貴方のその偽善ぶってる所、嫌いなのよ私。」
「……」
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やっぱり、喧嘩売られてますよね。これ。
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「寄り添ってあげる、だなんて貴方の自己満足よ。
患者はそんな事求めてないの。ただ怪我を治して
退院するまでを見届けるだけ。それだけでいいのよ」
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なんでそんな事
言われないといけない
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しかもお前に。
…やばい。
…なんか、やばい私
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「貴方のやってることはただの、」
「リーダーに言われたくないです。」
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だめだ
だめ、これ以上言ったらだめ
「…は？」
「嘘をつくようなリーダーには言われたくない」
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パチンッ！
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平手打ちの音が廊下に鳴り響くと同時に
私の左頬はヒリヒリと広範囲に痛む。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月19日 11時
