～小さな世界～【永瀬廉】 (ページ11)

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汗も拭き終わり

永瀬さんの身体を支えて

ゆっくりとベットに寝かせてあげた。

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少しの間だけ

私もパイプ椅子に座り

永瀬さんのギブスがついた左手に触れる。

「…いつでも呼んで下さいね。」

永瀬『……』

薄く開けた瞳を

私はそらさずに真っ直ぐ見つめる。

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「私は、…永瀬さんの味方ですから。」

永瀬『……』

何故、

こんな言葉を口にしたのかは

自分でも分からない。

でも、なんか言いたくなった。

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「眠れそうですか？」

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すると、また微かに頷く。

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「良かったです。…じゃあ、私は行きますね。」

永瀬『……』

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白い布団を肩の方まで掛けてあげて

私はそっと椅子から立ち上がり、

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永瀬『ありがとう。』

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歩く足をピタッと止めた。

永瀬さんの高く透き通るような声が

スッと耳に届いて胸が痛む。

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「…いえ。おやすみなさい。」

永瀬『……』

私は、涙が出そうになった。

冷静を保つのに必死だった。

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永瀬さんには

私達の目には見えない

深い心の傷があるように感じた。

永瀬さんの背中や手に触れただけで

痛々しい悲鳴がこちらにまで伝わってくる。

窓の外をひたすら眺める毎日。

食事も摂らず人とも話さず

まるで生きる事から

目を背けているようにも見えた。

私は、

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＿＿行かんといて。

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素直に手を差し伸べたくなった。

永瀬さんを助けてあげたいと思った。

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ナースステーションに戻ると

看護記録の入力をしている海人に近づく。

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髙橋『…えっ！？どうしたの』

「…うーーー」

髙橋『え、なになになに！？…え、ちょ！』

「…な、な、…ながせさんがぁぁあ～～～…」

慌てる海人の目の前で

私は声を大にして泣いた。

これはなにに対しての涙なのか。

自分でももう分からなかった。

話してくれた安心感からなのか

少しでも頼ってくれた喜びからなのか

髙橋『なんか酷い事でもされた！？A？』

「…ううぅ～～」

髙橋『え、…なに、どうしたのさ！！』

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それとも＿＿

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