～小さな世界～【永瀬廉】 (ページ31)

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永瀬さんはすぐにスプーンを机に置いて

私の顔、主に腫れた頬へ視線を向ける。

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永瀬『…触ったら痛い？』

「ううん。大丈夫です。」

そう言うと、

すぐさま右手は私の頬に触れ

ふんわり優しく包み込む。

前髪で隠れている眉は下がり

とても心配そうに私を見下ろして

永瀬『やり返したろか？』

「……」

そして恐ろしい事を言う。

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なるほど。

海人が人殺し人殺しと騒いでいたのは

永瀬さんのこの冷酷な瞳のせいだね。

私は永瀬さんの手を取り、

頬からそっと離す。

「…やめて下さい。」

永瀬『なんで？』

「なんで、…って。」

私は永瀬さんの右手をギュッと両手で握る。

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「永瀬さんがここに居られなくなります。

そんなの、…嫌です。…寂しいです。」

騒ぎになることも嫌だし

リーダーと更に気まずくなるのも嫌だし

いろいろ理由はあるけど、

1番最初に浮かんだのは、

「…永瀬さんは私が看させて下さい。」

永瀬『……』

何故か、これだった。

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恥ずかしくて

私はずっと永瀬さんの右手を見つめる。

すると、

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永瀬『分かった。』

頭の上から

やけにすんなりとした返事が返ってきた。

「…え？」

思わず顔を見上げると、

永瀬さんはじっと私の事を見つめて

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永瀬『俺もAに会われへんのは嫌やから』

「……」

永瀬『…我慢する。』

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頬を染めて、

でもはっきりとそう言ってくれた。

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私は自然と笑みがこぼれた。

永瀬さんも同じように照れ笑う。

「ていうか、…永瀬さん。」

永瀬『…ん？』

「右手だけだと、戦えないですよ？」

永瀬『……』

「ふふふ、…こんなに細い腕してっ…！！！」

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突然グイッと引っ張られて

一気に永瀬さんとの距離が縮まる。

真ん前に永瀬さんの顔があって

お互いの息が感じられる。

ドキドキと早まる心臓に

気付かれないよう

私は慌てて離れようとするも

「…ちょ、…永瀬さ」

永瀬『なに？』

がっしりと腰を手で固定されて

なんなら左ギブスが私の背中に…

まるでこんなの、

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永瀬『余裕やで』

「…え」

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永瀬『いつでも手出そうと思ったら出せる。』

「……」

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永瀬『我慢してるだけ』

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