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永瀬『……』
「……」
そっと離れた唇は再び重なる。
離れては、またすぐに戻ってきて
それの繰り返し。
私は薄く目を開けて、
ちょっとだけ冷静さを取り戻し
廉の胸を軽く叩く。
「…廉、人が見てる。」
永瀬『何があかんの？』
廉って、
キスを一度すると止まらない傾向があるようだ。
そういえば、夏祭りの時も。
またまたムニュっと唇が重なり
今度は強めに廉を突き放す。
永瀬『…また拒否られんの俺。』
「…だって、恥ずかしいもん。」
永瀬『見られてなかったらいいん？』
「え？」
廉の眼差しは
急に力強くなる。
ん？
どした。
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永瀬『デートプラン変更するわ』
「へっ？」
永瀬『家行こ』
「…な、…えっ、…ちょえぇええ！？」
私の手首と、キャリーバッグをがっしり掴み
廉は突然立ち上がり、
そのまま大きな歩幅で歩き始めた。
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「れん！…ね、廉ってば！」
永瀬『なんや』
「今日のデートプランはどうするの！？」
永瀬『明日に回す』
「はぁ！？」
廉の足取りが急に軽くなる。
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「え、今日はどうするの！？」
永瀬『さっきの続きしようや』
「…え？」
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右だけ口角を上げて
不気味に笑いながら振り返る廉。
そして、
.
.
永瀬『お守りも、ついに解禁しちゃう？』
「……」
バシッ！！
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永瀬『ったぁ！！なんで叩くん！？』
「もしかして、そのポケットの中…」
永瀬『アハハハッ、入れてへんわアホ』
「………」
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永瀬『財布の中に、だーーいじに保管して』
「いちいち言わなくていい！！……」
永瀬『んふふ…いずれ使うねんから照れんなや』
「…う、うるさい！」
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そんな廉の顔も、
真っ赤だけどね。
私の手を引いて楽しそうに前を歩く廉。
その手はとても冷たくて、
今すぐ身体ごと包み込んであげたくなった。
ブカっと大きなジャケットに
細身のジーンズとスニーカー
少し伸びた黒髪はナチュラルにセットされていて
どんどんお洒落になっていく廉も
.
＿＿そんな可愛い顔して学校行かんといて
.
人の事言えないじゃない。
と、心の奥でそっと呟いた。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月8日 14時
