76 ページ26
.
「…ほぉえ?」
永瀬『なんや…その反応。』
「…えっ…」
“だから言うの嫌やってん…”
と今度は項垂れるように
廉は下を向いてその場にしゃがみ込む。
永瀬『…俺が泣きたいくらいやわ、…ほんま。
冬休みは毎日会えると思ってたのにさ
2泊3日しかせぇへんとか言うし。
お前が泊まるホテルも1人部屋やし、
めちゃくちゃお前の親に警戒されてるし俺。』
冬休み、私達の計画だと
廉の家にお泊まりさせてもらい
冬休み全てとはいかないにしても
沢山廉と過ごせると思っていた。
しかし
私達はまだ高校1年生
過保護な私の親が
彼氏と毎日寝泊まりなんて事を
許してくれるはずもなく。
幼馴染だった廉が
彼氏となると急に厳しくなってしまった。
特に、…パパ。
永瀬『…だから俺、デートプランとかも
めっちゃ考えてきてんで?…それやのに
…なんかメイクとかして可愛いなってるし…
その顔で学校通ってるとか言うし…』
.
廉の口は止まる事なく
溜まっていたものを全て吐き出すように。
永瀬『だから、…似合ってへん。
って言うたら辞めてくれるかなぁ。
くらいの気持ちで言うたら、なんか怒られるし
挙げ句の果てには泣かれるし…
俺から走って逃げようとするし…』
.
私も同じように廉の前にしゃがみ込む。
下を向いた廉の顔を両手で持ち上げると
不貞腐れた表情で私を見つめる。
.
「…私も今日の為に、頑張ったんだもん。
少しでも、…廉に可愛いと思ってほしくて」
廉の不貞腐れた表情は
みるみるうちに解けてくる。
「…似合ってないなんて、傷つくよ。」
永瀬『……』
次に子犬のような目をして
私を真っ直ぐに見つめてくる。
そんな可愛い顔で見つめられたら
もう怒れないじゃん。
永瀬『…ごめん』
「……許す。」
少しだけ間を置いて
お互い、照れ隠しのように笑い合う。
.
.
涙で濡れた頬に引っ付いた私の髪。
それを廉の指がすくい
優しく微笑みながら廉は
そのまま私の耳にかけてくれた。
そのさりげない行動に
私の心臓は大きく跳ねる。
.
廉の片手が私の頬を優しく包み込み
永瀬『…泣き虫。』
「……廉が悪いもん。」
永瀬『…んふふふ』
そのまま柔らかい唇と重なった。
.
1826人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayu | 作成日時:2020年10月8日 14時