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紫耀は私の話を黙って聞いてくれた。
時折、小さく頷きながら、微笑みながら。
そして、
私は廉が好きだと言うことも伝えた。
でも紫耀は驚く事はなく
むしろ私よりも先に気付いていたと笑っていた。
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紫耀は終始とても穏やかだった。
平野『ちゃんと話してくれてありがと。』
「…うん。」
そして最後に、
こんな事を私に言ってくれた。
平野『当分の間はまだ好きだと思う。Aの事。
ごめん、未練がましい男で。だからさ、…もし
どうしても辛い時とか、廉にも言えない事があったら
まず1番最初に思い浮かべるのは、俺にして？』
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平野『恋人でも、家族でも、友達でもない。
幼馴染という特別な関係っていうのは、
これからも変えないつもりだから俺。』
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目頭を熱くした。
目に涙を溜めないよう必死で堪えながら
しっかりと紫耀の目を見て大きく頷く。
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平野『よし。じゃあ、…Aも頑張れよ。』
「…うん。」
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いつも冷静で、
私達の一歩先を行く紫耀は
あまり感情を表に出さず人に頼るのがへたくそで。
本当は、芯の部分がとても熱く
愛情深く、情に厚く、
決して人を裏切らない凄く真っ直ぐな人。
そんな紫耀が私も廉も大好きで
それはきっとこれからも変わらない。
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平野『あーー、腹減った。』
「…一緒にコンビニ行く？」
平野『いや、俺ちょっと一人で行ってくるわ。』
「………」
平野『ふふ、…先に帰ってて。』
紫耀は、
私の頭を優しく撫でて切なく笑う。
平野『…これでも一応凹んでんだから。』
「……ごめ」
平野『謝るのはなし。』
“早く寝ろよ？”と手を振り離れていく
紫耀の背中を少しの間眺めて、
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「………っ……っ…」
私は一筋の涙をこぼした。
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紫耀は…
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最後まで笑っていた。
その優しさと不器用さに、
私の涙は止まる事はなかった。
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紫耀、…ごめんね。
そして、
こんな私を想ってくれて
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「…ありが…とう……」
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月8日 14時
