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ベットの下を背もたれにして
横になって座る私達。
廉は私の手を掴んだまま
じっと私の顔を覗くようにして見てくる。
永瀬『………』
「………」
視線の先が私の唇へと移動し、
それと同時に廉の片方の手が
私の後頭部を支える。
ゆっくりと瞼を閉じると、
すぐに柔らかい唇の感触が伝わる。
お祭りの日以来のキスに
私の身体もだんだんと熱くなっていく。
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廉の唇はゆっくりと動き始めた。
ハムっと私の唇を咥えるように
覆うように、挟むように
いろいろな角度から迫られる。
それに応えるように
私も廉に合わせて唇を動かし始めた。
ただ唇を重ねているだけなのに、
私も、廉も徐々に呼吸が乱れ始めて
なんだか変なスイッチが入るような感覚に陥る。
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永瀬『…なぁ。』
「…ん?…」
ゆっくりと離された唇。
そこからこぼれた廉の声は
少し熱がこもっていて、妙にドキドキした。
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永瀬『…これ以上の事は、まだあかん?』
「………。」
永瀬『………。』
私の答えを待つ間にも
廉に優しく口づけをされる。
それはまた、繰り返し何度も。
永瀬『……いやなら、ちゃんと止めるから俺。』
「………。」
どうして、すぐに答えが出せないんだろう。
多分、根の部分では答えはYes。
だって、廉のことが好きだから。
でも、
「…焦って、したくはない。」
永瀬『……。』
明日から当分会えなくなる。
その焦りと余裕のなさが
廉の表情から垣間見えた気がして。
「…私は、…これからもずっと廉と居たい。」
永瀬『…うん。』
「明日以降も、この先ずっと一緒に居たいの。」
永瀬『…それは、俺もよ。』
「だから…今は。」
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今すぐに、じゃなくて。
ゆっくりと、時間をかけて
愛を育みたいなんて言ったら、
廉は笑うかな。
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永瀬『全然問題なし。』
「……廉。」
永瀬『ちゃんと止める。』
「……ふふふ、ありがと。」
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ふぅーー。
と目を閉じて深呼吸をする廉。
永瀬『消すからちょっと待ってな。』
「なにを?」
永瀬『煩悩。』
ちゃんと笑わずに、
私を大事にしようとしてくれてるのが伝わり
嬉しくて、今度は涙が出そうになった。
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作者名:ayu | 作成日時:2020年10月8日 14時