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放課後のプールに
またまた3人は忍び込む。
私は靴下を脱いで
紫耀と廉はズボンの裾を巻き上げて
プールサイドに並んで座り
今日は足をチャプチャプと水に浸けるだけ。
永瀬『もうすぐ夏休みやけど、なにするよ?』
平野『毎年同じ事すんの飽きちゃった俺。』
「………。」
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水面に、
私と廉と紫耀の足が揺れ動いているのを
ただ、ひたすらと眺める。
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__お前たちに、大事な話がある。
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すると、
「わっ!!…ちょっと、何すんのよ。」
6本の足の内、
廉の片足が私に向けて
勢いよくバシャン!っと水を蹴る。
永瀬『ボーッしてるからや。』
「…し、してないよ。別に。」
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そしていつの間にか廉と紫耀は
私の顔を覗き込むようにして見ていた。
「…え、なに?」
永瀬『なんかあったやろ、お前。』
平野『ずっとボーッとしてる。』
そんな両隣から見つめられると
萎縮しちゃうんだけど。
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私は下を向いて、目をそらす。
永瀬『そんな言いにくい事なん?』
平野『……??』
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別に言いにくい事ではない。
いずれ、バレるし
いずれ、分かっちゃう事だし。
でも、今は言いたくない。
なんでだろうね。
分かんないけど。
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だから、
話をはぐらかすつもりで
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「…キスってどんな味なのかなぁーと思って。」
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何故か私は、
唐突にこんな事を口にしてしまった。
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永瀬『………。』
平野『………は?』
「………。」
二人は目を丸くして固まり
紫耀に関しては口が半開きだ。
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なんとか
話をはぐらかす事は出来たのだが…
そのかわり、
廉と紫耀はこの後やけに静かになってしまう。
何を言っても、もぬけの殻な紫耀と、
「ねぇ、廉聞いてる?」
永瀬『うん。』
「昨日の歌番組で、」
永瀬『うん。』
「………。」
廉は何を言っても、
『うん』しか返してこなくなった。
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作者名:ayu | 作成日時:2020年9月29日 20時