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私の部屋で
正座をして座る、紫耀と廉。
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永瀬『…った！……もっと優しくしろよ…』
「うるさいなぁ、じゃあ自分でして。はい絆創膏」
永瀬『なんか、俺の時だけ雑。』
「当たり前でしょ。」
永瀬『………』
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とりあえず、
紫耀と廉の傷口を手当てしてあげた。
そして絆創膏だらけの2人に
少しだけ笑ってしまいそうなのを必死で堪えながら、
私はゆっくりと話始めた。
「パパね。実はもう名古屋に住んでるの。
本当であれば私とママも一緒に行くはずだったけど
私がどうしても夏休みはここに居たいって…。
2人とまだ、…離れたくなかったから。」
本当なら私、もうここには居なかったんだよ。
東京を離れて、2人とお別れをして
名古屋に住んでいる予定だった。
でも、なんとかお願いをして
今こうして2人と過ごせている訳で。
「…でも、2人がそんなんじゃここに居る意味ない。
3人で行きたい所、たくさんあったんだよ？
毎年行く海だって、お祭りだって行きたかったのに。
紫耀と廉がそんなんじゃ…私…」
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平野『行こうよ。』
「…え？」
痛々しい紫耀の顔が優しく微笑む。
平野『海も、お祭りも。山だって3人で。』
「………。」
紫耀は、首を触りながら
照れたように話しだす。
平野『大人げなかったね、俺も。…ごめん。
だから意味ないとか言わないでよ。悲しいじゃん。』
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ずっと黙り込んでいる廉の背中を
紫耀が、ほらお前も！っと強く叩く。
すると、
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永瀬『俺も、ごめん。』
「……」
ちゃんと私の目を見て廉は、
小さく謝罪した。
永瀬『昨日の事も、…ごめん。』
「……。」
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ほんと。
なんなの。
謝るなら、最初からするな馬鹿。
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「…ふふ」
平野『…ブッ…』
永瀬『笑うな。』
大人になると
避けられない男女の壁がある。
いくら幼馴染でも
小さなルールが増えてくる。
部屋で2人きりにならないように
ある程度の距離を保つように、とかね。
でも、たとえそのルールを破ったとしても
どんなに喧嘩をしたって最後には
「…許す。」
永瀬『…うん。』
平野『俺は許してないけどね。』
こうしてまた笑い合えるなら
もう、恐れなくてもいいのかもしれないね。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月29日 20時
