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「ソファで座って待ってて。」
永瀬『…おん。』
周りをキョロキョロしながら
廉は恐る恐るソファに腰をかける。
そういえば、
廉が家に入るのっていつぶりだろう。
高校に入ってからは殆ど無かった気がする。
だからか、とても新鮮に感じるのわ。
桃を切ってお皿に盛り付け
それをゆっくりとソファの前の机に置いた。
「お待たせ。」
永瀬『ん。』
いただきまーす
と、小声で言いながら桃を一口運ぶ。
「…んっ？甘っ！ねぇ廉、これ凄い甘いよ！？」
永瀬『さっき食ったから知ってるて。』
「もう一回食べてみて！凄い甘いから！」
“一緒やろ”
と笑いながら廉も口に放り込む。
「…ど？」
永瀬『旨い。』
「甘い？」
永瀬『甘い。』
「でしょ！？」
廉と私は
初めはぎこちなかったものの
今はまるでいつもと変わらない空気が流れる。
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「あーー、美味しかった。」
永瀬『残ってる桃、お前一人で食うなよ。』
「…そんな食いしん坊じゃありません。」
永瀬『嘘つけ。いつも食い意地張ってるくせに。』
バシッと肩を叩くと
また、廉は嬉しそうに笑う。
でも、
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廉はまた明日から私を避ける？
あれだけ夏休みにしたいリストを二人で書いたのに
何も出来ないの？廉とはもう遊べない？
そう口にはしないけど、
私は訴えるようにして廉を見つめた。
永瀬『なに？』
「…いや、…なにも。」
だけど、
そんな事言えるはずもなく
下を向いて座り直す。
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また、二人の間に沈黙が流れた。
今まで、こんな事無かったのに。
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永瀬『A、紫耀と付き合うん。』
「え？」
すると、
廉は前を向きながら静かに口を開いた。
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永瀬『明日、お前ら二人でどっか行くんやろ？』
「…あー、うん。」
永瀬『ええやん、楽しんで来いよ。』
「……。」
なんだろうね。
このモヤモヤした感情。
全力で、何かを否定したくなるような。
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永瀬『紫耀と付き合う前にさ、』
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待って、
私まだ付き合うなんて一言も
.
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永瀬『一個だけわがまま言うていい？』
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月29日 20時
