26 ページ26
.
テストも終わり
点数が無事だったかは…さて置き、
いよいよ夏休みに突入した。
.
.
「…持っていくものは、特にないよね。」
そして私は今、
明日の準備をする。
本当に山に行くらしい
紫耀との初デート。
着ていく服や持ち物に悩まされながらも
＿＿俺、楽しませるから絶対！！
すでに楽しそうな顔をした紫耀を思い出し
私は1人でクスッと笑みが溢れた。
.
ピーンポーン
.
ピーンポーン
.
「……」
.
あ、そっか。
今お母さん居ないんだった。
私は、慌ててインターホンの受話器を取る。
「は〜い。」
『…俺。』
「……」
.
それは、廉だった。
.
.
＿＿おめでとう。
.
あの日から廉は
私達と距離を取るようになった。
学校の行き帰り、休み時間も別行動。
露骨に避けられていた。
なので、廉とは最近話せていない。
だから、
.
永瀬『早よ、開けて。』
「…あ、うん。今開ける。」
まさか廉だとは思わなくて
私は少し戸惑いながらも
玄関の扉をゆっくりと開けた。
.
永瀬『はい、これ。』
「…え？」
開けた瞬間に差し出されたビニール袋。
永瀬『オカンが持って行けって。』
「…あー、…桃？」
永瀬『うん。』
ビニール袋に数個入った桃を
わざわざ持って来てくれた。
永瀬『んじゃ。』
「………」
だけど、
あっさりと背を向けて戻っていく廉。
その後ろ姿を少しの間眺めて
私は思わず、
「一緒に食べる？」
永瀬『………』
引き止めてしまった。
.
「あの…今家誰も居なくて。
私1人じゃこれ、食べきれないから…さ。」
別に、両親が帰ってきたら解決するような事。
そんな下手くそな理由しか思いつかなくて
私は分かりやすく言葉に詰まる。
.
すると、
.
永瀬『さっき食ったけど、ええよ。』
「……え？」
廉はまたこちらに戻ってきた。
永瀬『家、入れてくれんねやろ？』
「あ、はい、勿論。どうぞどうぞお入り下さい！」
永瀬『…んふふふ、なんやそれ。』
久しぶりに笑った顔を見た。
ずっと避けられていたせいか
私、なんか今。
凄い舞い上がってるみたい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1935人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月29日 20時
