～幼馴染と私～【永瀬廉】 (ページ17)

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揺らすと錆びれた音の鳴るブランコが一つ

とても殺風景なこの公園に

キーキーと微かに音を鳴らしながら

ブランコに下を向いて座る私と、

その前の柵に腰をかけて座る、紫耀と廉。

誰も話し出す気配がなく、

わりと長い沈黙は続いたけれど、

その沈黙を先に破ったのは紫耀だった。

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平野『なんで言ってくんなかったの？』

しかしその声の色は

怒りも少し込められていて。

だって、

こういう空気になるのが嫌だったんだもん。

ほら紫耀も、廉もすごい怖い顔してる。

「…ごめん。」

平野『何も言わずに行くつもりだった？』

「…違う…言うタイミング…逃しただけ。」

でもここまで雰囲気が悪くなったのは

ちょっと初めてかも。

いつもなんだかんだで誰かがふざけるから

本気で話し合う事なんてほとんど無かった。

一番先にふざけ始めるこの人も今日は、

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永瀬『どこ。』

「…え」

永瀬『どこ行くん』

腕を組みながら

下を向いて低い声を鳴らす。

「……」

平野『名古屋でしょ。』

永瀬『……』

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東京を離れた事が無い私。

この3人とこれからも一緒に

ずっと居られるとばかり思っていた。

だから…

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「……やだよ」

平野『……』

永瀬『……』

私だって…

行きたくないよ。

嫌だよ。寂しいよ。

なんで…なんで私だけ。

ずるいよ二人とも。

平野『…A』

下を向いていると

大きな一粒の涙が砂の上にポタッと。

「……行きたく…ないよ」

ずっと我慢していた感情が

ようやく溢れ出すように

「…紫耀と…廉とずっと一緒に…居たい」

ずっと堪えていた思いが、涙が

二人を前にして急に止まらなくなって

溢れ出てくる涙を隠すように

私は両手で顔を覆う。

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すると

ジャリジャリ…っと音を立てて

こちらにゆっくりと近づいてきたのは

平野『A、ごめん。』

「……っ………」

平野『俺が泣かした。…ごめんね。』

私の前にしゃがんで座り

ハスキーなのにとても柔らかい声で優しく

平野『…A。』

私の名前を呼びながら、腕をそっと掴む。

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紫耀は立ち上がると同時に

私の腕を勢いよく引っ張り上げて、

平野『…ごめん。』

そのまま大きな身体が

私を強く抱きしめた。

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