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海、花火、祭り、プール、とここまでは
夏の定番とも言われるイベントの文字が並ぶ。
しかし、廉は徐々にふざけ始める。
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“ビキニ着てほしい”
「は?」
永瀬『はい、次お前。』
「ビキニってなに?誰に?」
永瀬『ええから気にすんな。早よ書いて。』
「ふふふ、意味わかんない。」
交代でペンを渡し合い
次々と机の上に文字が並べられて行く。
“タピオカ巡り”
“俺はタピオカが嫌い”
「ふふ、なんか会話になってきたよ?」
永瀬『んふふ、はい次お前。』
“ダイエットする”
“それ以上痩せんな”
“夜中のアイスを卒業する”
“童貞卒業する”
「…え。こんな事、自分の机に書いていいの?」
永瀬『ハハハッ…あかん!くそ恥ずいやつ、これ!』
自分で書いといて廉、
顔が真っ赤なんですけど。
必死になって消しゴムを使う廉に
私も大笑いをした。
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永瀬『はぁー、…あっつ。はい、次お前。』
「ふふふ、顔赤過ぎ。」
さりげなく廉の真っ赤になった頬に触れると
“触んな”
とすぐに手を振り払われた。
「…えぇー、あと何がしたいだろうなぁ。」
私は斜め上を見て、この夏にしたい事を考える。
童貞卒業かぁ。
馬鹿みたい
と、さっきは笑っていたけれど。
私達も、もう高校1年生。
そういう事があってもおかしくない歳頃なんだよね。
でも、まずはこれかな。
私は思い付いたまま廉の机に文字を書く。
それは、
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“キスをする”
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永瀬『……。』
「…え、笑うとこでしょ。」
永瀬『いや、おもんない。』
「ふふ、廉に便乗してみたんだけど。」
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別に、本気で書いたわけじゃない。
廉がふざけるから、私も書いただけ。
なのに、そんな怖い顔しないでよ。
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永瀬『そんなしたいん。』
「え?」
永瀬『だから、キス。』
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妙に真面目な顔をして言うもんだから
私はつい、言葉を詰まらせる。
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「…そ、そりゃ私だっていつかは、」
永瀬『じゃあ試してみる?』
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作者名:ayu | 作成日時:2020年9月29日 20時