83 ページ33
.
「あ、でも！」
『……？』
私は、
バラの隣に置いていたピンクの花に触れた。
「この花とかも、可愛いですけどね。」
『これ、なんて花すか？』
「ブーゲンビリア」
『ブーゲンビリア？んふふ、聞いた事ないっすね。』
「ふふふっ、そうですよね。」
その人の長くて細い指が
ブーゲンビリアの花びらに触れた。
「あなただけを見つめています。」
『………。』
「確か、こんな花言葉だったと思います。」
『………。』
こんな花をプレゼントされる女性は
さぞかし素敵な方なんだろうな。
『貰ったら嬉しいっすか？』
「ふふふ、はい。」
.
『Aも嬉しいん？』
「ふふ、はい。私も嬉し……………」
.
.
.
私は、
一瞬で身体が硬直した。
時が止まったかのように、
瞬きも息すらも出来なくなって。
.
.
『A。』
.
.
少し高めの声
細いけど意外とゴツゴツした手
.
.
『こっち向いてや。』
.
.
.
すでに私は、
目に沢山の涙を溜めていた。
そして、そのまま
ゆっくりと顔を横に向けると、
.
.
そこには、
.
.
.
.
.
.
.
永瀬『久しぶり。』
.
.
.
前髪から覗く茶色い瞳が
私を真っ直ぐに見つめて笑っている。
「…なん…で…」
永瀬『気付くん遅いわ。』
「……なんで廉が…」
永瀬『…んふふふ。』
私のポロポロとこぼれ落ちた涙を
廉は優しく指ですくう。
.
永瀬『びっくりした？』
「……ねぇ、ちゃんと…答えて」
永瀬『ん？』
私の頬に触れながら
優しく微笑む廉。
目の前にいる。
廉が私に触れている。
それだけで涙が止まらなかった。
ただ、どうしてここに？
どうして会いに来てくれたの？
ねぇなんで？
と、口にしたくても
言葉が詰まって声にならない私。
永瀬『ふっ、驚きすぎて声でえへんか？』
「……だ、だって…」
.
.
永瀬『………。』
そんな私の頬を両手で包み込み、
.
.
.
永瀬『A…綺麗なったな。』
と、
廉は少しだけ目を潤わせながら
眉を下げて笑っていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「永瀬廉」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月19日 1時
