～ネコ日和～【永瀬廉】２ (ページ7)

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ー春ー

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苗を等間隔に田んぼに投げつけ

それを一つ一つ丁寧に植えていく。

のんびりと過ごした冬は

いつもあっという間に終わってしまい、

またこうして田んぼの世話をする日々が始まる。

そして4月になると、

村人は山へ登る。

「れーん、もぉ遅い」

永瀬『いや、…激坂よ。ちょっと休憩しよや。』

「…さっきしたばっかじゃん。」

私よりも体力があるなんて

大嘘をついていた廉は

山を登って数分で弱音を吐き始めた。

「仕方ない。じゃあ、休憩しよっか。」

永瀬『…しよしよ。息がもたんわ、これ。』

春の山には

ノビル・イタドリ・スイバの草と食材の宝庫。

早めのうちに行かないと

村の人達に取り尽くされてしまうので

こうして今年も無くなる前に山へ登るのだ。

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二人が座れるスペースを見つけて

そこにシートを敷いて腰をかけ、

「お茶飲む？」

永瀬『飲む。』

水筒のコップに冷たいお茶を入れて廉に渡した。

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春の風は気持ちがいい。

心地よさのあまり

つい、目を閉じてしまうな。

今年は野草、どれだけ採れるだろう。

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永瀬『ほんま肌綺麗な。』

「え？」

すると廉は、そんな私をじっと見つめて

永瀬『化粧してへんやろ？』

「…う、うん。」

頬を優しく撫でられる。

永瀬『綺麗。』

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「……そんなまじまじと見ないで。」

永瀬『んふふ、なに照れてんの。』

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廉は、

最近とても寂しそうに笑う。

眉を下げて可哀想な顔をしながら。

だから私は、

触れられた廉の手を握り

「もう、歩ける？」

永瀬『んー…頑張る。』

残りの時間がたとえ少なくても

「頂上に着いたら、お弁当食べようね。」

永瀬『…あぁーーバリ腹減ったぁ、もう食お。』

「ふふふっ、だーめ！」

私も、廉に気付かれないように

寂しく笑いかけてあげるんだ。

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そして

沢山の食材をパンパンに詰めたリュックを下ろし

ついに私達は、

「廉、頂上着いたよぉー！」

永瀬『おぉー、絶景やん。』

「良い景色でしょ。あ、あっちでお弁当食べよう」

永瀬『うん。』

村を一望出来そうな程の絶景。

山の頂上に着いた。

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