～ネコ日和～【永瀬廉】 (ページ41)

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クリスマスは、

廉と一緒にケーキ作りをした。

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永瀬『ニンジンとほうれん草入れんの？』

「うん、クリスマスカラーでしょ？」

永瀬『まぁ…そうやけど。』

廉が想像していたケーキとは

少し違ったようだけど。

「母がよく、作ってくれたの。」

永瀬『ほぉえー。』

「私も普通のケーキが良いって思ってたんだけど。」

母が作る料理は

丁寧で、繊細で、とても美味しかった。

それは、このケーキも。

永瀬『Aに似てる？顔とか。』

「んー、どうだろ？」

永瀬『さぞかし美人なんやろなぁ。』

母は今、何をしているんだろう。

何処で、誰と過ごしているのだろう。

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「全然、似てないよ。」

永瀬『……。』

物心ついた時には

私には父は居なくて、母と二人暮らしだった。

母はとても厳しい人で

人付き合いも下手くそで

この村でもわりと孤立していて、

そんな母を

少しだけ恥ずかしいと思い出したのは

中学の後半になってから。

そして、

子供を一人残して男と出て行くような母が

私は、ずっと嫌い。

永瀬『A？』

「…え？…あっ、ごめんごめん。」

永瀬『大丈夫？』

「うん。」

オレンジ色の生地と

緑の生地を混ぜ合わせたケーキを焼いて

周りにホイップクリームで塗り固める。

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永瀬『俺も塗りたい。』

「ふふっ、はい、どうぞ。」

小さなケーキを真剣に見つめて

クリームを塗って行く廉の姿は

子供の頃の自分にそっくりな気がした。

永瀬『…どお！？上手じゃない？』

「アハハハハハッ…廉、…ふふふっ」

永瀬『何笑ってんの。』

塗り終えた後

満面の笑みでこちらに振り向いてきた廉の鼻に

「ふふふっ…クリーム付いてるよ。」

永瀬『え、どこ？…んふふ、恥ずい早く取って。』

「やだ、可愛いもん。」

永瀬『はぁ？早よ取れって。』

先端についたクリームを

仕方がないので指で取ってあげた。

すると、

その指を廉にガッと掴まれて

永瀬『…あっま。』

「……。」

躊躇なく舐められた私の指を

じっと眺めた。

永瀬『…ふふっ、どうしたん？』

「……変態。」

永瀬『フハハッ、クリーム舐めただけやん。』

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あの日のキスから

廉との関係が少しだけ変わった気がする。

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