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永瀬『……なぁ』
「なに？」
鳴り止まない嵐の音。
ミシミシ、ガタカダ、
本当、家が崩れてしまいそう。
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永瀬『それにしても離れすぎよね。』
「なにが？」
永瀬『遠いよね、これね。』
「廉が離れて布団敷いていいって言ったじゃん」
永瀬『それにしてもよ。遠すぎやろ。』
お互い手を伸ばしても
届かないくらいの距離に敷いた布団。
これが廉は、負に落ちないらしい。
永瀬『どんだけ信用ないねん、俺。』
「なんか下心ありそうな顔してたもん。」
永瀬『ハハハッ、やめとけ。してないわアホ。』
でも、
二人で天井を見上げてこうして
くだらない話をして眠るのは
確かに悪くない。
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「廉は、いっぱいモテてきたでしょ。」
永瀬『……』
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「嫌な人。」
永瀬『ハハハハハッ、まだなんも言うてへんやろ！』
明るくて、一緒に居て楽しくて、
よく食べて、無邪気で、顔も綺麗だし、
絶対モテモテだったに違いないよ。
永瀬『現にずっとフラれとるし俺。』
「誰に？」
永瀬『Aに。』
布団を顔のギリギリまで被り
こっちを見ている廉は
なんか、可愛くて笑っちゃう。
「別に告白もされてないもん。」
永瀬『伝わってるやろ十分。』
「…ズルい男ね。もう寝るよ。おやすみ。」
あーあ。
どうせ居なくなるくせに、
馬鹿な事言って。
永瀬『なぁA。』
「もぉ、早く寝ようよ。」
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永瀬『東京ってさ。』
「……。」
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永瀬『怖いよな。』
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月15日 10時
