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永瀬『……。』
「……。」
今日は読書な一日
縁側に寝そべり
二人して本に集中した。
もちろん、私達の間にはイネも。
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永瀬『眉間にシワ寄ってんで。』
「…今いい所なの。邪魔しないで。」
永瀬『俺、もう読み終わったもん。』
「……。」
ミステリー小説
この本はすでに二度三度と読んだ事があるけれど
何度読んでも面白い。
最後はあえて、
スッキリしない展開で終わるのだけど
それがさらに想像を掻き立てられるのだ。
本に集中する私に邪魔をしてくる廉を
何度かあしらっていると、
本を読み終える頃には、
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「…ふふふ、拗ねて寝たか?」
縁側でうつ伏せになったまま
スースーと寝息を立てて眠る廉の姿があった。
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廉の脇腹辺りにイネも包まって寝ていて
なんとも癒される景色に、うっとりした。
「…ふふふ、ほんとに猫みたい。」
私は、廉の黒い髪を優しく撫でた。
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私も、昼寝しちゃおうかな。
廉の眠る隣に
私も仰向けになって瞼を瞑る。
あーー、気持ちぃーー。
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目を閉じていても
瞼の向こうは秋の空で眩しい。
今日は、夜ご飯何にしようかな。
村のおじちゃんに、椎茸貰ったから
炊き込みご飯にしようかな。
あとは、…そうだなぁー…
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うとうとしてきた、その時だった。
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瞼の向こうに明らかな影を作った。
それは太陽の下を大きな雲が遮ったのとは
少し違うような、
私はある気配をして、
ゆっくり目を開けると、
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永瀬『……っ!!』
「……。」
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顔の真上に、廉の顔があった。
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「なにしてるの。」
永瀬『…いやぁーー?え?』
「目が泳いでる」
私の顔の両横に手をついていた廉は
慌てて離れていった。
ゆっくり体を起こして、
「あれ?イネ居なくなってる。」
永瀬『あーー、なんかどっか行ったよ。』
「ふふふっ、廉が変な事しようとするから。」
永瀬『…してへんよ。まだ。』
「……。」
平常を保つのに必死だった。
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ちょっとだけドキドキしながら
私は台所へと向かった。
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作者名:ayu | 作成日時:2020年9月15日 10時