～ネコ日和～【永瀬廉】 (ページ26)

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永瀬『なんか、寂しなった。』

「ふふふっ、全部無くなっちゃったね。」

収穫を終えた田んぼは、

背の高い稲の葉も全て無くなり

茶色い土だけとなった。

「はい、お弁当。」

永瀬『ありがと。』

何も無くなった田んぼを眺めながら

去年収穫したお米で作った

おにぎりを2人で頬張る。

永瀬『…うま。』

「美味しいね。」

秋の風が吹き抜ける。

雲が二重に重なって見える、紫色の空。

なんか、気持ちいいね。

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永瀬『米って、なんでこんな旨いんやろな。』

「ふふふ、廉のお米愛は異常だよね。」

永瀬『一生食えるもん。特にAの米。』

「そう言って頂けて光栄です。」

一粒一粒がしっかりしてて弾力のある固さ。

噛めば噛むほど旨味が口の中で広がり

夏の塩むすびなんかは本当、最高なんだよ。

「ふふふっ、廉の為にも作り続けなきゃね。」

永瀬『うん。作って。』

私も、当分この村から出れそうにないや。

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永瀬『なぁ。』

「ん？」

廉は前を見ながら

どこか真面目な顔をする。

永瀬『まだ、引きずってたりすんの。』

「え？」

主語のない質問に首を傾げて待つ私。

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永瀬『そのぉー…元彼。』

指で鼻を触りながら

顔を歪ませる廉。

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「あぁ！」

なんだ、

あの時ちゃんと話聞いてたんだ。

「引きずってるって、私がまだ好きか？って事？」

永瀬『うん。』

私が変な話しちゃったから

心配してくれてたのかも。

「今は好きじゃないよ。その時は落ち込んだけど。」

永瀬『やっぱ、落ち込んだんや。』

「そりゃね。」

一応は同棲までしたんだもん。

その先の事を考えるのが普通でしょ？

向こうは考えてもいなかっただろうけど。

永瀬『ええなぁ～』

「…はい？私の話ちゃんと聞いてた？」

永瀬『…んふふふ』

相変わらず上を見ながら

情けなく笑う廉。

永瀬『だって、良い意味でも悪い意味でも

Aの中に思い出として残ったんやろ？そいつ。

腹立つけど、なんか羨ましいわ。』

そう言って

何かを誤魔化すようにしてまた一口

おにぎりを頬張った。

なに言ってるの。

「比べものにならないよ。」

永瀬『ん？なにが？』

そんなやつと、一緒にしないでよ。

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