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ー 秋 ー
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高校2年の頃
母が突然、私を置いてこの家を出て行ったのは、
確かこの季節。
それからはずっと一人で
母の真似事のような生活を送ってきた。
田んぼのお世話以外にも
家の周りにある畑の世話やその他諸々、
一人で生きて行くには、一日が24時間なんて、
全然足りなくて困ったものだ。
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永瀬『…ん"ん！！…』
「…ふふふっ、廉変わろうか？」
永瀬『いや、…ヨイショーーッ！！…はぁ…はぁ…』
「ハハハッ、息切れしてるじゃん。」
私の家は、
灯油ではなく、その代わりに薪ストーブがある。
薪割りは春頃から始めて冬に備えておくのだけど、
それでもまだまだ足りない薪を、
こうして秋になった今も薪割り作業は終わらない。
丸太の中心へ向かって
スパーンと重たい斧でぶっ叩く。
これがかなりの重労働で…
永瀬『今日でこの腕、終わったわ。』
「だから、変わる？って聞いたのに。」
永瀬『女の子に任せる訳にはいかんやろ。』
「……。」
そう言って廉は、
細い腕を私に堂々と見せてきた。
こうして沢山出来た薪は
薪小屋に乱雑に置いておく。
これを怠ると、冬は越せない。
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永瀬『普通のストーブ買わんの？』
「うん。…ガス代が馬鹿になんないからね。」
永瀬『ふ〜ん。』
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9月になると、
稲刈り作業が始まり、収穫の時期。
収穫の段取りを考えながら
薪割りをして、薪小屋に移動して
畑の世話をしながら
今晩の食事は何にしようかと考える。
去年の今頃は、こうして過ごした。
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永瀬『あ、イネちゃん！』
「イネ〜」
すっかり廉に懐いたイネは、
廉の腕に抱きかかえられて、満足そうな顔。
「スリスリ〜」
永瀬『なぁ。俺にもしてや、それ。』
「はぁ？やーだよ。ねぇ、イネちゃん。」
永瀬『イネ〜、羨ましいなぁお前本間。』
今年は違う。
「ねぇ、それどういう意味？」
永瀬『んふふふ、言わんよ。』
「…なんでよ！」
永瀬『俺にもスリスリしてくんねぇーかなぁ？』
上を向いてガハガハと笑う廉が居て、
イネが居て、
いつもと違った、
フワフワとした秋がやってきた。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月15日 10時
